写真●独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)月・惑星探査プログラムグループプログラムディレクタ 宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系教授川口 淳一郎 氏(撮影:平瀬 拓)
写真●独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)月・惑星探査プログラムグループプログラムディレクタ 宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系教授川口 淳一郎 氏(撮影:平瀬 拓)
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 「はやぶさのプロジェクトについて、完璧でない点を指摘するならばいくらでもできた。しかし、我々は『できない理由』を考えようとはしなかった。『どうしたら先に進めるのか』だけを考えた。この組織文化が、プロジェクトを成功に導いたと思う」。小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネジャーを務めた独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口 淳一郎氏(月・惑星探査プログラムグループプログラムディレクタ 宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系教授、写真)は開発者向けイベント「X-over Development Conference 2011(XDev2011)」でこう話した。

 川口氏は、はやぶさのプロジェクトが成功した要因として、「できない理由を考えない」という、JAXAの組織文化を挙げた。プロジェクト開始時も、プロジェクトの最中も、メンバーは「どうしたら先に進めるか」だけを考えた。このプロジェクトは、小惑星に探査機を着陸させてサンプルを採取するという目的自体が世界初の試みであり、イオンエンジンの採用など実現手段も世界初だった。「ソリューションの出来は60%でいい。完璧を目指していたら何も始められなかった」(同)という。

 周知の通り、はやぶさが帰還するまでの道のりは平坦ではなかった。考え得るあらゆるパターンの事態を想定していたにもかかわらず、それらを上回る想定外の機器故障が頻発した。そのたびに代替手段に切り替えて乗り切った。例えば、4基のあるイオンエンジン全てが壊れそうになったとき、壊れた2基のイオンエンジンの壊れてない部分同士を接続して1基のエンジンとして使った。遠隔からソフトウエアプログラムを書き換えたのだ。

 なぜ、次々と起こる想定外の事態に対処できたのか。川口氏は「なぜそういう設計にしたかを理解しているから」と話した。設計した理由や背景、その妥当性を熟知しているからこそ、何かがダメになったときにその代替手段を考え出すことができたという。「福島第一原子力発電所は、米GE(General Electric)の設計通りの配置だったと聞く。なぜその設計なのかを、東京電力は理解していたのか疑問に思う」と続けた。

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