準グランプリ

 準グランプリを受賞した全日本食品は、個人商店や小型スーパーなど約1800店が加盟するボランタリーチェーン「全日食チェーン」の運営会社だ。情報システムの開発・運用や一括仕入れなどを通じて、地域に根ざす小売店の経営を支えてきた。

 今回、準グランプリの対象となったのが、2010年9月に稼働した販売促進システム「ZFSP」である。顧客の購買履歴に応じて個別の「特売チラシ」を提供するシステムだ(写真1)。一般的なチラシやクーポンと違い、顧客ごとにチラシの掲載内容が異なる点が特徴である。「どんなに値引いたとしても、自分の好みに合わない商品には目もくれない顧客が増えている。だったら、顧客ごとにチラシを作るほうが効果的」と、齋藤充弘社長は狙いを語る。

写真1●全日本食品が導入した販促システム「ZFSP」
月初に会員カードを提示すると、自分の購入履歴に応じた特売チラシがレジで手渡される。
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 仕組みはこうだ。月初めにPOS(販売時点情報管理)レジで顧客の会員カードを読み取ると、本部の購買履歴データベースで当該顧客の購入頻度を参照する。その際、購入頻度の高い20商品を抽出して特売チラシを作成し、精算時にレジで手渡す。

 一見すると、顧客別の特売を実現するのは簡単そうだが、裏側のシステムは複雑だ。顧客によって販売価格が異なるため、通常販売と割引販売に対応する「一物多価」のPOSレジシステムが必要となる。さらに、精算時に即座に顧客の購入履歴を分析して、チラシを印刷する必要もある。

 これを可能にしたのが、イスラエル製のPOSレジ用パッケージソフト「Retalix」だ。仏カルフールや英テスコが導入しているシステムで、「日本の食品スーパーで導入したのは当社が初めて」(齋藤社長)。POSレジや店舗サーバーだけでなく、本部システムもRetalixに対応させた。システム構築は、寺岡精工とフューチャーアーキテクトが担当した。

 「情報システムを駆使して、精度と効率を高めなければ、今後は勝ち残れない。システムを使って情報武装すれば、弱小店でも巨大チェーンに一矢報いられる」と齋藤社長は強調する。個別特売チラシシステムは、今年3月末時点で174店舗に導入されている。これを2012年3月までに、1000店舗に広げる計画だ。

出典:日経コンピュータ 2011年8月4日号 p.73
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