情報保護などの名目で、多くの企業は社員が私物のスマートフォンやパソコン(PC)を業務で使うことを禁止してきた。だが、外出先で電子メールをやり取りしたり、自宅で資料を作成したりするときなど、私物の利用を黙認する現場は少なくない。日経コンピュータ誌の実態調査によると、携帯電話やスマホの私物利用を容認する企業は2割にすぎないが、実際は半数以上の人が使う――。いま、企業のシステム部門は、スマホやPCの私物利用を「禁止するか」「解禁するか」の決断を迫られている。黙認や放置の状態が続くのは問題だ。

(写真:中西 昭)
(写真:中西 昭)

 従業員個人が購入したスマートフォンやノートPCなどの「私物」を、日常業務で積極的に活用させよう――。

 電力危機の今夏を乗り切るために、さらには新しい働き方を実現するために、日経コンピュータ誌は社外から企業システムを利用する端末としての「私物解禁」を提案する。

 「正気か。非常識だ」「セキュリティをどう担保するんだ」「問題が起きても責任を負えない」など、システム部長やシステム担当者の多くからは、批判やお叱りを受けるかもしれない。

「タテマエ」を言っている状況ではない

 だが、ちょっと待ってほしい。みなさんの会社は、節電のための在宅勤務や残業禁止が相次ぐ今夏を、「私物利用は厳禁」の状況で乗り切ることができるのだろうか。想定外の震災が再び起きたときに、事業を継続できるのだろうか。様々な制約がある中で生産性を維持できるのか。冷静に周囲を見回してほしい。ビジネスシーンの中に私物は浸透している。もはや「タテマエ」を言っている状況ではない。今こそ発想を転換し、私物の利用を解禁するときだ。

 私物の業務利用を認めることで、従業員の働き方も大きく変えられる。PCが普及し始めた一昔前を思い出してほしい。「ワークスタイルを変える」という触れ込みでPCの一人一台体制が広まったのだが、結局、働き方は変わらなかった。しかし、今は違う。高機能かつ安価な情報端末が続々とコンシューマー市場に投入され、従業員は会社よりも先にそれらを手にするようになった。クラウドサービスの普及で、安全性を保ちつつ、いつでもどこでも業務の情報にアクセスできるようにもなったのだ。

 東日本大震災や今夏の電力危機は、これまでの発想を転換する契機だ。事実、前回見てきたように、ディー・エヌ・エー(DeNA)やKDDIがこのタイミングで方針を大きく転換するなど、私物のスマートフォンやPCの業務利用を認める企業が相次いでいるのである。

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