日本テレビ放送網とテレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン、電通は、インターネットに接続して動画を視聴できるテレビを対象に、有料課金型のVOD(ビデオオンデマンド)サービス(民放VOD)の提供を2012年春に開始する方針である。生活者のライフスタイルの多様化に対応するため、この民放VODはネット対応テレビのほか、スマートフォンやタブレット端末などのマルチデバイスにも広げ、リアルタイム視聴に繋げる流れを作り出すことにより、テレビの価値の最大化を図っていくという。

 放送事業者自らテレビ向けにVODサービスを提供する狙いは何なのか、テレビ向けVOD「アクトビラ」や、民放キー局5局のコンテンツが揃うパソコン向けVOD「テレビドガッチ」など、既存サービスとの違いはどこにあるのか、「テレビの価値の最大化」という目的をどう実現するのかなど、電通に聞いた。

民放VODはリアルタイム視聴への導線

 VODは好きなタイミングでコンテンツを視聴できるため、ユーザーの利便性は高まる。その一方で、VODコンテンツの視聴中は放送中の番組を視聴しないことになり、放送番組の視聴率にマイナスの影響を与えることも考えられるが、そうしたサービスを放送局自ら提供する狙いとして、「視聴者をライブ放送に戻す仕組みを提供することで、広告放送のビジネスをサポートするサービスとして提供する」と説明する。見逃した番組をVODで手軽に見られる環境を整えることで、翌週のライブ放送の視聴に繋げる考えだ。

 そのため民放VODは有料課金モデルではあるものの、VODサービスによるコンテンツ販売を大きな収益源として育てることを主目的にしたものではない。また現状では、事業会社化は予定していない。見逃し番組だけでなく過去の名作などのアーカイブ番組も提供するが、見逃し番組や番組の前シーズンなど、現在放送中の番組に関連したものを中心に提供していくという。

放送連動型VODとして各局主導で提供

 現時点で考えられているサービスの形態としては、6社が協力して家電向けの配信プラットフォームを整備しユーザーインタフェースなどの共通化までを行うものの、VODサービスそのものは各局がそれぞれ提供する。提供するコンテンツや、価格設定あるいは割り引きなどの販売方法、視聴可能期間の設定などは各局が決めることから、サービス内容は各局で異なる可能性がある。

 また、異なる放送事業者をまたぐ形でコンテンツをパック提供したり、月額固定料金の見放題メニューを設定するといったことなどは、今後の課題となるだろう。「VODサービスの利便性を上げようとすると、局またぎ、月額固定料金という売り方も考えられるが、民放VODはVODビジネスの追求ではない。ライブ放送に人が戻るか、見逃していた番組に気づいてくれるかを主眼としている」ためだ。

 ユーザー認証や課金、IDの体系・持ち方などは「パソコンなどと比べて操作性が劣るテレビを主対象としているので、なるべく使いやすい方法を検討中」だという。民放VODは、アクトビラや他のVODサービスと異なり、テレビ放送と連動しているのが特長で「ライブ放送の画面で簡単な操作をすると放送画面が縮小表示され、視聴中の放送局が提供するVODサービスのメニューが並んで表示される。国内初の放送連動型VODサービス」になるという。

 メーカーに対しては、1操作で縮小放送画面とVODメニューに遷移することを求めている。デジタルテレビで「dボタン」を押して視聴中の放送局のデータ放送画面を呼び出すように、簡単なリモコン操作で、視聴中の放送局のVODメニューが表示されるイメージだ。

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