Red Hat Enterprise Linux(RHEL)とのバイナリ互換を目指すCentOSの新版6.0のリリースが遅れている。そのため、もう一つの無償のRHEL互換OSである「Scientific Linux」が注目を集めている。

 Scientific Linux(以降、SL)は、CentOSにさきがけ、2011年3月にRHEL 6.0に対応するバージョンをリリースした。SLは、Fermilab(フェルミ国立加速器研究所)とCERN(欧州原子核研究機構)がリリースしているLinuxディストリビューションだ。RHELから商標を取り除き、ソースコードを再コンパイルしてパッケージを作り直し、かつ研究で利用するいくつかのソフトウエアのパッケージを追加している。

 SLの主な目的は、研究で利用するLinuxディストリビューションを各研究所が個別に開発する労力を削減し、研究者の共通のインストール環境を作ることである。研究所や大学での利用を想定しているが、制限を設けているわけではない。研究所や大学以外のユーザーでも利用できる。

 SL 6.0はRHEL 6.0に対して表1に示すようないくつかのパッケージを追加してある。なお、デフォルトでインストールされるのは「yum-autoupdate」のみである。

表1 Scientific Linux 6でRHELから追加してあるパッケージ
[画像のクリックで拡大表示]

 SL 6.0では、SL独自に追加されたパッケージはそれほど多くない。これは、以前のバージョンで追加していたパッケージがRHEL 6やサードパーティのリポジトリ(Fedora EPELやATrpms)でも提供されるようになったためだ。その結果、RHELとの違いは以前のバージョンに比べて少なくなっている。

 セキュリティアップデートは、元にしているRHELのメジャーバージョンがリリースされてから少なくとも4年間、提供される。SL 6は2016年11月11日までとなる。

 SLを利用するに当たり、いくつか注意点がある。

 まず、「/etc/yum.repos.d」ディレクトリに配置されているyumのリポジトリの設定ファイル「sl.repo」と「sl-updates.repo」では、近くのミラーサイトを参照するようには設定されていない。そのため、図1のように近くのミラーサイト、例えば、日本国内であれば" http://ftp.riken.jp/Linux/scientific/ "を参照するように「baseurl」を書き換える必要がある。

図1 yumのリポジトリの設定ファイル「sl.repo」と「sl-updates.repo」の書き換え
[画像のクリックで拡大表示]

 次に、SL独自のyum-autoupdateパッケージで提供されるyumの自動アップデート機能がデフォルトで有効になっている。無効にしたければ設定ファイル「/etc/sysconfig/yum-autoupdate」にある「ENABLED」の値を「false」に書き換える。

出典:日経Linux 2011年8月号 p.10 日経Linux
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。