KIPP(the Knowledge Is Power Program)が、Chromebookの前身となる試験端末「Cr-48」を2011年2月に導入してから取材までほぼ4カ月。KIPP LA校でシステムを担当するマシュー・ペスケイ氏は、その利用を振り返り「低コストで導入でき、多額の運用費がかからないChromebookは、既存のラップトップを置き換えるモデルを提供した」と高い評価をしている。

 ペスケイ氏は「『何か新しいことができるのか?』とよく聞かれるが、Chromebookだからできるものはない」という。彼らの評価ポイントは、従来のパソコンに比べて導入と運用コストが圧倒的に低く抑えられそうなことである。

 同校の場合、数十台規模の既存MacBookに加えて200台のChromebookを導入したため、同じ条件での比較はできないが、1台当たりの年間保有コストとしては1000ドル以上の削減効果があるとみている。その差分は、主にサーバー側の運用コストがほとんどかからないことによるものだ。

端末の保守時間は導入時に5分、年間15分と試算

 端末の保有に関する全コストを端末側とサーバー側に分けて考えたとき、端末側のコストだけをみれば、両端末の差額はそれほど大きくない。MacBookでは1台当たり年間280ドルかかると見積もったのに対して、Chromebookでは248.75ドルである(図1)。

図1●端末当たりの年間コスト比較
クライアントコスト(ハードウエア、ソフトウエア、人件費の合計)はほぼ同等だが、サーバー側のコストがかからないことで大幅にコスト削減できると試算した。
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 MacBookの280ドルの内訳は、700ドルの端末を4年間使い続けるとしてハードウエアに関するものが1年当たり175ドル、人件費が70ドル、クライアントソフトウエア(ウイルス対策ソフトやOfficeソフト)が年間35ドルだ。

 一方、Chromebookでは米グーグルが用意する月額利用モデルを利用することとし、端末利用料として年間240ドルを支払う。グーグルはChromebookに関して、法人には月額28ドル、学校には月額20ドルの利用モデルを用意している。人件費については、年間でわずか8.75ドルとした。

 ここで人件費に大きな差がついているのは、Chromebookではほとんど端末の保守に手間がかからないからである。MacBookの端末メンテナンスにかかる費用を70ドルとしたのは、ソフトウエア更新や修理などにパソコン1台当たり1年間に2人・時間の作業が必要だと見積もったから。米国における技術者の平均給与などから、時給を35ドルと仮定して試算した。

 それに対してChromebokの場合は、「いったん導入してしまえば、起動時にソフトウエアを最新の状態に自動更新してくれるために、ほとんど手間がかからない」(ペスケイ氏)。手間がかかる場面と言えば、導入時の作業だとする。導入時の作業時間の多くは、端末ごとに割り当てる番号(教室番号と端末番号で構成)を記したタグの添付などに要するもの。1年間当たりの作業時間を15分程度と見積もり、費用としては8.75ドル程度とした。

 同校の場合、サーバーの運用は一切ない。メールやグループウエアなどのサーバー機能は、すべてGoogle Appsが用意しているからである。もともと導入実績がないだけに「サーバー費やシステム管理費については見積もるのが難しいが、小規模ビジネスや学校が一から機器とソフトウエアライセンスをそろえるとなると、端末1台あたり数千ドルがかかるだろう」(ペスケイ氏)。

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