「東京に災害があった場合、電話は被害を極小化できるが、インターネットは日本全体に被害が波及する可能性がある」。KDDIの大内良久技術企画本部モバイル技術企画部通信品質グループリーダー担当部長は言う。

 東京にはインターネットの根幹を担う様々なサービスや装置が集中している(図1)。代表例はインターネット・エクスチェンジ(IX)だ。IXはインターネット接続事業者(ISP)のネットワークを相互接続するポイントで、JPNAPやJPIX、BBIXなど複数の事業者が提供している。しかし、その具体的な立地となると東京・大手町に集中している。IXが被害に遭うとISP間の接続に不具合が生じ、ISP網が“孤立”してインターネットにつなげられなくなる可能性すらある。

図1●インターネットの重要設備が東京に集中している
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 西日本のIXも大阪・堂島に集中している。しかも、「トラフィックの比率は東京が9に対して大阪は1くらい」(ソフトバンクBBの牧園啓市執行役員ネットワーク本部本部長)。東京の方が圧倒的に処理能力が高いというのが現状だ。大手ISPは東京と大阪の両方でIXに接続しているが、中小ISPではどちらかとしか接続していない場合がある。「地域IX」と呼ばれる地方部に立地するIXもあるが、そこに接続するISPは少ない。

 東京で大規模障害が起きた場合、幹線ケーブルが無事ならば大阪のIXにトラフィックが集中することになる。幹線ケーブルの帯域やIXの処理能力が耐えられるかには不安がある。ただし、「東京で大規模災害があると、東京でのパソコン利用が激減する。通信する端末そのものが減るので、大阪のIXで処理しきれなくなることはおそらくない」(ソフトバンクBBの牧園本部長)という見方もある。

 このほか、ISPのシステム構成にもよるが、ユーザー情報管理や課金といったネットワーク運用に必須となるサーバーを東京に集中させている場合がある。これらに障害が発生した場合、IXや幹線ケーブルが被害を免れても、エンドユーザーがISP網に接続できないという事態があり得る。あるインターネット関係者は「多くのISPが東日本大震災を機に、重要設備の分散を検討し始めた」と明かす。

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