前回見たように、インターネットは通信の混雑に強い。しかし、通信機器やケーブルの被害に対しては意外に脆い。インターネットは光ファイバーや銅線といったケーブルと、データを転送するルーターを組み合わせたものにすぎない。ケーブルが切れたりルーターが故障してしまうと、当然のことながら通信できなくなる。

 まずはインターネットの構造を見ていこう。インターネットはインターネット接続事業者(ISP)のネットワークを、互いに接続して構成した巨大なネットワークである。ISPのネットワーク構造は事業者によって異なるが、おおむね図1のような構成であると考えていい。東日本大震災では幹線ケーブルやアクセス網とその設備に物理的な損壊があった。

図1●インターネット接続事業者のネットワーク構成と震災被害
図1●全国規模のインターネット接続事業者の典型的なネットワーク構成と震災被害

 東日本は東京、西日本は大阪に、ISPのネットワークの中心となるNOC(ネットワーク・オペレーション・センター)があり、各県(または各地域)ごとに県(地域)の中心となるアクセス・ポイントがある。おおむね、ここまでがISPの設備である。アクセス・ポイントでNTT東西地域会社をはじめとしたアクセス回線事業者のネットワークと接続。企業や家庭へのアクセス回線とISPのネットワークをつなげる。

 NOCはISPのネットワークの中心であり、ここからIX(インターネット・エクスチェンジ)に接続する。IXはその名の通り、ISPのネットワークを相互接続する装置である。コンテンツ事業者のデータセンターもIXに直結していることが多く、大手のWebサイトとはIXでISPと直接接続することになる。インターネットは「ISPが相互接続したネットワーク」であるが、実際に相互接続しているのは東京と大阪の2カ所のみというのが実情だ。

 なお、ここで示した構成はISPの典型例の一つだ。実際にNTT東日本などのアクセス回線事業者とどう接続するかは、ISPによって異なる。例えばNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、東日本は東京と群馬、西日本は大阪と愛知というように東西各2カ所のNOCを用意する。IXでの接続は東京、大阪に集約する。

 以下ではISPが主役となる幹線系と、アクセス回線事業者が主役となるアクセス系に分けて構成と災害の影響を見ていこう。

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