写真1●気仙沼市はTwitterで災害情報を発信
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 東日本大震災では情報発信にもインターネットが活躍した。自前のWebサイトに情報を掲載するだけでなく、Twitterアカウントを取得して情報発信を始めた公共団体も複数あった。被災地では宮城県気仙沼市が災害情報を発信している(写真1)。水道や電気の状況、火災の発生など市民に有益な情報をリアルタイムに発信している。

 東京都三鷹市など直接的な被害が小さかった自治体も、Twitterでの情報発信を地震後に開始した。三鷹市への避難者への情報発信や、福島第一原発事故によって飛散した放射性物質に関連した水道水や食品の安全性についてツイートしている。

写真2●復興支援サイト「sinsai.info」
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 被災者支援団体もインターネットを活用している。代表例は「sinsai.info」だろう(写真2)。被災者への支援案内や被災地の道路情報、ボランティア募集情報などを集約して情報発信している。

 ソーシャルネットワークや情報サイトが役に立ったのは、インターネットが災害に“耐えた”からこそだ。通信インフラとしてのインターネットについて、災害対策の内実を明らかにしていこう。

主な影響は通信の渋滞と設備の損壊

 まず、災害が通信インフラに与える影響は大きく二つに分けられる。「輻輳」(ふくそう)と「物理的な損壊」だ。物理的な損壊は読んで字のごとし。インターネットを構成するケーブルやルーターといった設備が、地震や津波で壊れてしまうことを指す。輻輳はやや難しいので以下で詳しく説明する。

 輻輳は通信が渋滞することを指す。多くの人が一斉に電話をしようとすると、電話がつながらなくなることがあるのがその一例だ。電話では交換機が通話を処理する。交換機の処理能力を超えると、通話がつながらなくなる。

 震災時には家族や友人、同僚の状況を確認するために通話が殺到し、携帯電話も固定電話もつながりにくくなった。被災地だけでなく、直接の被害が小さかった首都圏でも通話しづらい状況が続いた。携帯電話、固定電話ともに、重要通信を妨げないために通信規制も実施していた。

 インターネットも理論上は電話と同様、中継設備(インターネットではルーター)の処理能力を超えると通信ができなくなる。しかし実際には、インターネットは少なくとも首都圏でつながりにくくなることはなかった。

 被災地においても、通信設備の物理的な損壊を免れた地域ではインターネットでの通信が可能だった。実際、Twitterには地震直後に被災地から書き込んだと見られるツイートが多数ある。ただし、大規模な停電があったため、通信設備の非常用電源が切れるとともにインターネットで通信できない地域は広がってしまった。

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