2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、安否確認や防災、被災者支援を目的としたアプリが次々にリリースされている。電力不足に伴う計画停電や電力使用状況の情報を提供するアプリも多数登場した。

 「Androidマーケット」で安否情報の確認など緊急の用途に向けたアプリがリリースされたのは、3月11日の東日本大震災当日のことである。携帯電話・PHS事業者5社が立ち上げた「災害用伝言板サービス」やグーグルの安否確認サービス「Google Person Finder」にアクセスするアプリが、サービス開始からわずか数時間で登場した(表1)。

表1 東日本大震災に伴ってリリースされた災害対策用のAndroidアプリ

 続いて、緊急地震速報の取得や震災被害者の帰宅支援、道路運行状況に関する情報提供といった災害対策のためのアプリが相次いだ。災害関連情報を提供するWebアプリケーションとマッシュアップしたり、スマートフォンの現在地情報を活用したりしている。

 既存のアプリケーションについても、災害対応が急速に進んだ。例えばナビタイムは、歩行者向けナビゲーションアプリ「NAVITIME」と自動車ナビの「NAVITIMEドライブサポート」の一部メニューを、「震災サポート機能」として期間限定で無料化した。

 radikoも被災地区での情報入手の一助となるよう、IPサイマルラジオサービス「radiko.jp」のエリア制限を一時解除。同サービス用のAndroid/iPhoneアプリやPCのWebブラウザで、全国どこからでも聴取できるようにした。関東エリアでは4月12日までこの措置を続ける。

電力不足に備えるアプリ

 震災の影響による電力需給ひっ迫を受け、東京電力は3月14日から計画停電を実施した。これに備えるためのアプリも数多い(表2)。自分が住む市町村が停電の実施エリアに該当するかどうかや、該当する場合はどの時間帯に停電の可能性があるのかなどの情報を、ブラウザよりも素早く検索できる。

表2 計画停電や電力使用状況に関する情報を提供する主なAndroidアプリ

 計画停電の長期化が予想される中、効果的な節電につながるよう、首都圏の電力使用状況をモニターするアプリも登場している。主に東京電力が公開している電力使用状況データを用いる。

 当初このデータはグラフ画像として公開されていたが、3月24日から電力使用状況データのCSV形式での提供がスタート。経済産業省情報プロジェクト室がTwitter上でデータ活用を呼びかけたこともあって、Androidはもちろん様々なプラットフォーム向けに様々な形態のサービスやアプリが提供されている。

 アプリケーションの提供だけではない。開発コミュニティにおいて被災者支援の輪が広がっていることも見逃せない。

 日本Androidの会では、まず関西支部と東北支部が「チャリティーアイディアソン」と「チャリティーハッカソン」を3月18日と19日に開催した。続いて横浜支部が3月26日にイベントで募金活動を実施した(関連記事)。さらに神戸支部も4月1日に、チャリティーアイデアソンを行った。

 未曾有の大震災に直面した今、クラウドコンピューティングやスマートフォンなど最新のITを駆使してこれに対処する動きが、日本全国で広がっている。その中でもAndroidを活用した取り組みは迅速で活発だ。オープンなプラットフォームでありマーケットの自由度も高いAndroidの特性と、開発者の裾野が広がっていることを実感させる。