ネクスウェイは、1988年にリクルートの一事業部として発足し、2004年にリクルートから分社。2007年にITホールディングスグループの一員となる。FAX一斉同報サービス・FAX帳票サービスを展開し、契約法人数8000社、契約ID数約2万5000という実績を持つ。最近はFAXサービスに加えて、各種コミュニケーションツールの開発を手掛けている。今回取り上げるのはその一つ「e-オンデマンド便サービス」。インターネットから郵送物を発送できるサービスだ。2009年10月にサービスを開始し、約1年半で1000社以上と契約している。長らくFAX事業に携わってきたネクスウェイにとって印刷・発送分野は未知の領域だった。サービス立ち上げ時に実施した工夫を伝えてもらう。(ITpro編集部)

画面●e-オンデマンド便サービス
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 印刷・発送分野に関して、ネクスウェイが提供する「e-オンデマンド便サービス」(画面)はかなり後発でした。そこで大量印刷・大量発送の市場は避け、オンデマンド印刷技術を活かして、少量印刷・少量発送を価値とした商品に仕立てることにしました。初期投資を最小限にするべく自前での印刷リソースは持たず、印刷会社とパートナー関係を結び、Web to Printの仕組みを実現させました。

 この時のパートナー選定のポイントとしては、(1)自分たちの実現したいことが出来る技術力(印刷技術、Web to Print技術)を持っていること、(2)一緒にビジネスを作っていく関係が築けること、の2点です。特に(2)を重視しました。我々は印刷・発送領域では後発も後発であり、既存プレーヤーが提供している価値とは異なる価値を持ってマーケットに参入していく必要があります。それを、委託する側・される側という関係性ではなく、「共に印刷・発送ビジネスを変革する」といった心意気で一緒にサービスを創って行けるかどうか。それが、開発スピードを速める意味でも大事なポイントとなると考えました。

数十社にヒアリング

 SaaS型サービスである以上、汎用的な作りになっていなければなりません。そこで、サービスコンセプトである「いつでも・誰でも・どこでも使える」を軸にし、「どんなインターフェースであったら良いか」「どんな機能がついていたら良いか」を検討して決定していきました。

 机上でいくら議論しても、こういうことは分かりません。そこで、実際の郵送業務がどうなっているのか、ヒアリングを繰り返しました。その数は数十社に上ります。「封筒の仕様」「宛名表記」「印字文字の大きさ・配置」「封入枚数」「発送タイミング」などを知ることにより、このような仕様・機能であれば、今までの業務に置き換えるような形で利用してもらえそうだという感触をつかむことができたのです。

プレ営業で直感の正しさを確かめる

 新サービスはひらめきや直感で生まれることが多いと思います。ただ、そのひらめきや直感に裏付けるデータも欠かせません。いいアイデアだと思っても、一呼吸置いて「本当に?」と、問い直してみると、思わぬ盲点が出てくるものだからです。そこで、今後ユーザーとなりうる顧客の候補に、企画書を見せて「こんなサービスを・こんな価格帯で利用してもらえるのか?」を聞いて回る“プレ営業”を重視しました。

 サービス提供者側が想定していなかったニーズが見出せたり、実は価格に見合う価値提供が出来ていないことに気付かされたりと、この時期の発見は大きかったです。我々はサービス検討期間の後半の約半年をこの活動に当て、約50社にプレ営業を行いました。例えば、当初設計していた月額料金に関しては、この段階で廃止しました。固定費の発生と、「いつでも・誰でも・どこでも使える」のサービスコンセプトとの乖離が、実際の顧客の反応から見えてきたからです。

 本提案を開始後も、プレ営業時に出た結果は非常に参考になりました。プレ営業時の商談歩留まりを参考に、本営業の数値を見て行けば、プレ時と本営業時との乖離から見えてくるものがあり、手を打てるからです。単に営業が提案に慣れていないだけなのか、提案先(ターゲット)がプレ営業時よりシャープでないのか、それとも想定とは異なりサービス自体の価値が低いのか…。本営業時で進捗に詰まった際、当初の仮説と細かなプロセスで比較してみることで、現実の何が仮説と異なるのかのポイントが早期に見つかり、手を打てるスピードが増すのです。

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