クラウドコンピューティングに「コスト削減」効果を求める企業は多い。様々なアンケート調査においても、クラウドコンピューティングの導入目的の上位には必ず「コスト削減」がランクインする。だが、クラウド導入の企画フェーズで落とし穴にはまると、プロジェクトが迷走して、コスト削減どころではなくなってしまう。失敗事例を基にクラウド導入が頓挫する原因を考えてみたい。

クニエ アーキテクチャ&ストラテジーサービスグループ
山本 真、櫻井 敬昭

 クラウドコンピューティングには、初期費用の抑制や導入期間の短縮といった潜在的メリットが非常に大きい。これはコスト削減やシステム対応の迅速化といった経営のニーズにぴたりと合致する。最近では、国内外のITベンダーもこぞってクラウドサービスを立ち上げ、企業システムのクラウド化に向けた素地は整いつつある。

 しかし、コスト削減の有力な手段としてクラウドに注目しつつも、導入への一歩を踏み出せない企業は多い。実際にクラウドを導入した企業でも、その効果を十分に見いだせない場合が多い。

導入企業が陥りやすい失敗パターンがある

 そこでクラウドの導入を途中で断念した企業や導入に苦労した企業などに話をうかがってみたところ、いくつか共通する失敗パターンが見えてきた。さらに、クラウド化に失敗する要因は、「企画」「移行」「活用」「改善」という4つのフェーズのそれぞれに潜んでいることも分かった(図1)。

図1●クラウドの導入・活用では、フェーズごとに様々な落とし穴がある
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 本連載では、クラウド化に失敗した事例をベースに、なぜ失敗したのか、どうすれば回避できるかを解説していく。クラウド化になかなか踏み出せないでいる企業なら、転ばぬ先の杖として読んでいただきたい。また、既にクラウドを利用している企業なら、より大きな効果を得るためのヒント集として読んでいただければ幸いである。

 第1回の「さまよえるコスト削減(1)」では、年間ITコストの20%削減を目指してクラウド導入に踏み切ったが、逆にコストが増加してしまい、事業部門から「クラウドはコスト削減に向かない」とのレッテルを貼られてしまったA社の事例を紹介する。

 A社はどうしてこのような状態に陥ってしまったのか。それをどのように回避すべきだったか。みなさんも考えながら読んでみてほしい。

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