IPv4アドレスの枯渇が、現実に近づいてきた。国際団体IANAが管理していた未使用のグローバルIPアドレスが、2011年2月3日に底を突いた。IANAからアドレスの割り当てを受ける立場にある、アジア太平洋地域の管理団体APNICに在庫はあるものの、それも今夏までにはなくなる見通しだ()。

図●インターネットのIPv4アドレスの管理体勢と枯渇の状況
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 ユーザー企業にとってIPアドレス枯渇の直接の影響は大きくない。新しいグローバルIPアドレスが必要になるケースがあまりないからだ。大きな影響を受けそうなのは、通信事業者や、多数のサーバーを擁してサービスを提供するクラウド事業者だ。

 今回枯渇したグローバルIPアドレスは、インターネット上でユニークなアドレスである。企業が社内LANとインターネットを接続する場合や、インターネット向けサーバーを構築する場合に必要になる。クラウドサービスを提供するためには、サーバーなどに付与するグローバルIPアドレスを確保しなければならない。ルーターやファイアウォールのような機器はもちろん、仮想マシンにもIPアドレスが必要になる。

 IPアドレスが枯渇すると、クラウド事業者が顧客の要望に応えてサーバーを増設したくてもできない状況が生まれる。アドレス不足に悩むクラウド事業者や通信事業者が、実際に増えつつある。

 IPアドレス不足を補う技術はいくつかある。例えば「NAT(ネットワークアドレス変換)」は、自由に使えるプライベートアドレスと組み合わせることで、使用するグローバルアドレスの数を抑える。ただしこの方式で処理できる通信の数に上限があるので、早晩限界がくる。

 根本的な解決策は、IPv6アドレスを使うことである。クラウド事業者が、新規のサービスについてはIPv6で提供するなど、IPv6への対応を進める動きが活発になりそうだ。

 大手通信事業者も、一部のサービスでIPv6への対応を始めている。IPv4とIPv6のネットワークを接続するサービスや、サーバーでIPv4とIPv6を併用するサービスも登場している。ユーザー企業も、IPv6への対応を検討開始すべき時期に来ている。

出典:日経コンピュータ 2011年2月17日号 p.16
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