小売りとメーカー、あるいは卸が一緒になってPOS(販売時点情報管理)データやチラシ投入を分析・検証し、顧客に支持される売り場を「協働」で作るマーチャンダイジング(MD)が全国に広がっている。

図1●コープこうべが開催している「協働MD研究会」の発表会
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 兵庫県でスーパーを展開する生活協同組合コープこうべ(神戸市)は2009年度、かつてない目標を期初に掲げ、売り場作りを進めている。

 食品や飲料、日用品などで取引がある30以上のメーカーからMD(マーチャンダイジング)の提案を受け入れ、該当売り場の供給高(売上高)を前期比3%増となる154億 5000万円まで押し上げることを年間予算に組み込んだのだ。メーカーと一緒になって売り場を作る「協働MD」ありきで店舗運営していくことをメーカーの前で宣言したのである。

 コープこうべが協働MDに乗り出したのは2007年度だ。メーカーにPOS(販売時点情報管理)データを開示したうえで、気づきの場を共有するため、毎月「協働MD研究会」(図1)を始めたのが発端である。販売機会ロスを減らすアイデアをメーカーから引き出すとともに、「バイヤーの意識改革を狙った」(西村和宣 MD政策推進室統括)。

 協働MDの開始に当たり、MD政策推進室はバイヤーに11カ条の心構えを示した。「私(バイヤー)が決めるのではなく、取引先と一緒に解決する」「関連部署と連携して現場の執行度を高める(メーカーから受けた提案は必ず実行する)」「協働MDは相互の財産なので成果物を独り占めにしない(他社に提案してもらっても構わない)」などだ。

 2008年度は農産・水産・畜産など部門ごとに分科会を設けて協働MDを進め、2007年度に約3億円だった協働MDによる増収効果を約5億円に押し上げた。優秀MD賞としてコープこうべが2008年度に表彰した事例には、亀田製菓の「年代別米菓レイアウトの提案」がある。

 商圏に30代の顧客が多い「若パターン」と50代が多い「熟パターン」に店を大別し、堅焼きやソフト、あられなど10種類以上ある米菓の品ぞろえを変えたところ、売上高が前年比で 18%も伸びた。分析ノウハウをメーカー間で共有してもらうため、コープこうべは発表の場も設けている。

 コープこうべがメーカーにPOSデータを開示したのは「売り場の課題を数字で言い合うため」(西村統括)だが、単にPOSデータを眺めただけでは課題は見えてこない。「POSデータは全国や関西の小売り実績と重ねてみて初めて、気づきをもたらす」(同)。

 そのことはメーカーにあらかじめ伝えてある。全国で商売をするメーカーに、兵庫が地盤のコープこうべが期待するのはそこだ。

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