過去の販売実績を参考にしながら、コンピュータで商品の発注数を計算・決定する「自動発注システム」の導入実績が急増している(図1)。その背景には流通業を悩ませる深刻な人手不足がある。業界大手でも発注ノウハウを持つ人材を各店にくまなく配置するのは困難になってきており、自動発注という「現実解」を思い切って選択し始めた。

図1●流通業に広がる自動発注やリコメンド(推奨)発注システムの例
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 2008年1月、「無印良品」ブランドの雑貨などを販売する良品計画が今後の経営を左右する大きな決断を実行に移した。全店にある約1万5000品目の全商品を対象に「自動発注システム」の利用を開始したのだ。作業負担になっていた発注業務を無くし、その分を接客や売り場作りに振り向ける。

 立ち上がりは順調だ。導入当初は一部の店舗で「基準在庫数」の読み誤りや登録間違いが発生したものの、それを除けば店舗運営に支障は出ていない。逆に発注業務を削減した結果、既に店員の接客時間が1日に1時間以上も増えたり、人時削減効果が表れたりする店舗が出始めている。

 CIO(最高情報責任者)の小森孝・執行役員情報システム担当部長は毎週、店舗での発注数の修正率を確認しているが、「3月末までに目標値である10%に収まった。手応えを感じている」(図2)。自動発注とはいえ、良品計画は店舗で発注数を修正することを認めている。

図2●良品計画の自動発注における店舗での修正率の推移
図2●良品計画の自動発注における店舗での修正率の推移

 「システムに100%の発注精度を求めるのは不可能だし、お客様が特定の商品をまとめ買いした後などのイレギュラー対応は店員に任せるのが現実的だ。そうした作業を含め、修正率は10%以下に収まれば十分だろう」。つまり、発注業務の90%を自動化できれば、システム導入は成功と判断できる。

 これまで店員の発注業務の負担は現状の3~5倍も大きかった。良品計画は7年前から自動発注の試行錯誤を繰り返しており、過去にはパッケージソフトや統計分析手法を試してきたが、どれも同社には合わず、店舗で発注数の30~50%を修正していた。これでは自動化した意味がない。

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