2010年12月16日に発売されたGoogleブランドのスマートフォン「Nexus S」は、非接触通信機能 NFC(Near Field Communication)を標準APIから使える最初のAndroidスマートフォンとして注目されている。今後NFCは普及し、決済や広告など幅広い分野で使われると予想されているからだ。

 このNFCの活用で、日本のAndroid開発者は世界の第一線に立っている。開発者らは、日本では未発売のNexus Sを入手するのと同時に、NFCを活用したAndroidアプリの開発に取り組み、世に送り出したのだ。

 一つは、井上恭輔氏が開発した「taglet」だ。NFC規格のICカードやICタグ(RFID)、例えばSuicaカードにNexus Sをかざすと、ただちにtagletが起動する。任意の文字列によるメッセージをブラウザ上に表示したり、特定のURLをブラウザで開いたり、電話番号を伝えたり、が一瞬で行える。このアプリの狙いは「Webとリアルワールドを結ぶ」(井上氏)枠組みに育てていくことだ。

 もう一つは、あんざいゆき氏が開発した「Suica Reader」だ。ICカード乗車券「Suicaカード」の乗車履歴をNexus Sで読み取るアプリである。同様に、Edyの残高が分かる「Edy Reader」、nanacoの残高が分かる「nanaco Reader」もリリース済みだ。

写真●NFC対応アプリの一覧。taglet、Suica Readerなどがインテントで起動できるアプリ一覧の中に表示されている
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 NFC搭載Androidスマートフォンが登場するやいなや直ちにこのような成果が出てきた理由は、一つには日本ではNFCの一部として規格化されたFeliCaが普及していることから、NFCを活用するための知識を持ったエンジニアが大勢いたことがある。そしてなにより、「新しい機能をいち早く試して、世の中に貢献したい」という気持を持った若い才能が、Androidの最新バージョンン(Android 2.3、開発コード名Gingerbread)で対応したNFCに関心を持ったことが大きい。

tagletの瞬発力:3連休を「座りっぱなし」で開発

 tagletの開発者、井上恭輔氏は開発当時のことをこう語ってくれた。「(2011年)1月7日にNexus Sが届いて。翌日からの3連休を使って、ほとんどソファに座ったままで作りました。膝に開発用のPCを置いて、膝掛けをして。時々寝て、起きている間はずっと開発して」。そしてこう付け加えた。「本当に楽しかった」。

写真●tagletの作者、井上恭輔氏
写真●Nexus SをSuicaカードに近づけると、NFC対応アプリが起動する
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 井上氏を、こうした猛烈な勢いで開発に駆り立てたのは、「Webとリアルワールドをつなごう」という思いだった。「SuicaカードにNexus Sをかざしてみたら、何か動く。これだ! と思いました」。

 Nexus Sが搭載するAndroid 2.3 (開発コード名Gingerbread)は、NFCリーダーの機能を標準搭載し、NFC規格のICタグ/ICカードを検出するとただちに対応アプリが起動する。購入時点でプリインストールされているNFC対応アプリは、ICタグの検出を記録する単純なアプリ「tags」だけだ。だが、NFCを読み取るAndroidアプリを開発して実行させることは自由にできる。

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