III.課題を確実に解消する

 進捗の遅れをいち早く見付け、そこに問題を発見したら、それを課題管理の仕組みにのせて確実に解消していくことが重要になる。ここでは、課題管理のやり方に関する現場の工夫を二つ取り上げる。

 一つ目の工夫は、課題に対する対策を短時間で考えるように指示することである。この工夫を実践しているのは、ITコンサルタントであるプリベクトの北山一真氏(代表)だ。

 プロジェクトチームの定例会などでメンバーに課題をアサインする際に、対策がその場で具体的に決まらないことは少なくない。そんなとき、対策を考えついたら報告するように指示してメンバーに任せてしまうと、それっきりになり、「初動が遅くなったり、課題が放置されたりする原因になる」と北山氏は指摘する(図6)。実際に従来は、1週間後の定例会で課題の状況を確認すると、「まだいい対策が考えつかない」「もう少し時間をください」と言われることがしばしばあったという。1週間が無為に経過したことで、対策が限定されることもあった。

図6●課題のアサイン後、1時間で対策を立案してもらう
プリベクトの北山一真氏(代表)は、メンバーに課題を割り当てたとき、その対策を考える締め切りを1?3時間後に設定する。これにより、課題解消の初動を早め、進捗遅れを防いでいる
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対策立案にあえて短い期限を設定

 そこで北山氏は、課題をアサインするとき、すぐに対策を考えるように指示することにした。定例会で課題をアサインした場合は、会議が終わってから1時間~3時間後を期限にする。短いように思うかもしれないが、あえてそうしているのだという。

 「たとえ期限を1週間後にしても、その間に本当に集中して考えている時間は、せいぜい数十分ほど。ところが時間が経つほど、それだけの時間に見合ったいい対策が考え付かないことをメンバーが恥ずかしく思って、相談さえしてくれなくなる」(北山氏)。

 そこで1時間~3時間後に期限を決めて集中して考えてもらい、その時間になったらメンバーから状況を聞く。そのとき対策が思い付いていなければ、一緒に途中まで対策を考え、また1時間~3時間後に期限を決めて最後まで対策を考えてもらう。

 こうするようにしてからは、「課題への対策の初動が早くなった上に、メンバーから課題に限らず相談してもらいやすくなった」(北山氏)という。

マル秘の課題管理表で人の問題解決

 二つ目の工夫は、プロジェクトマネジャーとサブチームのリーダーだけが使うマル秘の課題管理表だ。これを考案し使っているのは、エクサの月岡鉄三氏(コンサルティング推進部 担当部長 ITシニアコンサルタント)である。

 マル秘の課題管理表では、主として「特定のメンバーの生産性が落ちている」といった人に関するネガティブな話題を扱う。

 システム開発の現場では、メンバーのスキルや健康状態、メンバー同士の相性といったような、人に関するさまざまな問題が起こる。こうした人に関するネガティブな話題は、開発チーム全員で共有する通常の課題管理表では扱いづらい。さらにそういう話題は、プロジェクトマネジャーとサブチームのリーダーにとって特に重要だが、マネジャーとリーダーが集まる機会は限られる。そこでマル秘の課題管理表を運用することで、人に関するネガティブな話題をプロジェクトマネジャーとサブチームのリーダーが共有できるようにした。

 ただし課題管理表といっても、課題を厳密に管理するのではなく、気付き情報の掲示板のようなものだ(図7)。

図7●マル秘の課題管理表で、人に関する問題をいち早く解決
エクサの月岡鉄三氏(コンサルティング推進部 担当部長 ITシニアコンサルタント)らのチームでは、プロジェクトマネジャーである月岡氏と各サブチームのリーダーだけが利用するマル秘の課題管理表を運用。主として、メンバーの問題を共有し、互いにアドバイスをしたり協力したりしていち早い解決につなげている
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 このマル秘の課題管理表では、例えば最近次のようなやり取りが行われた。サブチームリーダーのI氏が、若手メンバーのAさんと先輩のBさんを組ませたところ、Aさんの進捗遅れが目立つようになった、という問題を書き込んだ。これに対して、別のサブチームリーダーJ氏がアドバイスを送った。J氏によると以前、BさんにAさんを指導させたことがあったのだという。そのとき相性が悪かったので、指導役をCさんに替えた。「Cさんとはうまくいったようです。Aさんは、管理型でなく聞き上手な先輩と組ませるとよいと思います」とJ氏。このアドバイスの通り、I氏がAさんと組ませる先輩を替えたところ、Aさんの進捗遅れは大幅に改善したという。

 マル秘の課題管理表では、こうした人の問題について日常的に議論が行われる。プロジェクトマネジャーである月岡氏も積極的に参加し、チームが抱えている人の問題を解決し、進捗遅れを防いでいるという。

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