ユニ・チャームでは、業務改革本部と情報システム部を兼任する形でCIO(最高情報責任者)の元井誠一本部長が指揮を執り、システム畑の知名俊郎さんが業務改革部長を務めている。「大げさな名前ですが…」と恐縮されたが、通常ならば経営企画でやるような仕事を組織まで変えてシステム部門主導で行っているところに経営者の意思が見える。

 部門横断で無駄を省き全社で投資の最適化を目指しているが、根底には2008年4月に立てた中期計画を達成するための決意がある。おむつやナプキンで世界シェア10%、ROE(株主資本利益率)15%を取ろうというグローバル10計画だ。ユニ・チャームの世界シェアは7%。1位、2位を外国勢が占め、3位に複数の会社がひしめく。単独3位になるためにはコスト改革が必須。情報システム部が業務プロセスを整理するのは経営計画そのものだ。

持たない、作らない、持ち込まない

 ザ・ユニ・チャームウェイとしてSAPS(Schedule、Action、Performance、Schedule)という業務のPDCA(計画・実行・検証・見直し)を週次で回す。今週の優先順位を全社で共有。半期や年間では環境に合わせ戦略シートを作るシートマネジメントを徹底する。世界の巨人である米P&Gや日本のトップ花王に対して勝てる部分は、実行力やスピード。そのためのIT(情報技術)戦略は、大きなシステムよりも柔軟性を重視する。2003年までは汎用コンピュータを使っていたが、基幹システムをダウンサイジングし、パソコンとオフコンにした。ソフトウエアのバージョンアップのたびに莫大なお金がかかるシステムは捨てた。自分たちで持たなくてよいものは使用料を払い、アプリケーションも自分たちで作らない方針を立てた。

 最近、ユニ・チャームは1000人以上の規模で、クラウドであるGmailを初めて採用し、話題になった。が、もとより「持たない、作らない、持ち込まない」の方針を持っていた。コア業務以外をアウトソースすることは、全社の力をグローバル10に向けているという意識を社員全員に周知することにもなった。システム部が業務改革本部になり、業務改革本部が全社の方向性を示す。ユニ・チャームの戦い方は気持ちがいい。

石黒不二代(いしぐろ ふじよ)氏
ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO
 シリコンバレーでコンサルティング会社を経営後、1999年にネットイヤーグループに参画。事業戦略とマーケティングの専門性を生かしネットイヤーグループの成長を支える。日米のベンチャーキャピタルなどに広い人脈を持つ。スタンフォード大学MBA
出典:日経情報ストラテジー 2010年1月号 p.151
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