総務省 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会は2010年11月8日、「青少年インターネットワーキンググループ(WG)」の第3回会合を開催した。このWGでは青少年保護の観点からインターネット利用環境の整備に向けたさらなる取り組みを検討している。今回は主査代理である千葉大学教育学部教授の藤川大祐氏が、「青少年インターネット環境整備法」に基づくフィルタリングの提供義務について意見を述べ、今後の議論に向けた論点整理案として位置付けられた。

保護者だけに責任は無理と指摘

 整備法ではフィルタリングの適用可否は保護者および利用者の判断に委ねている。藤川氏から示された論点整理ではそこを一歩踏み込み、「急速なICTの発展により青少年を教育する立場である保護者だけに判断させて責任を負わせるのは現実的でない」「関係者(行政や携帯電話事業者、学校など)が保護者の責務の補助をすべき」という基本的な考え方を示した。その施策については新たな法規制ではなく、携帯電話事業者などの関係者の取り組みを支援する形が望ましいとしている。

 具体的な論点は、(1)保護者、(2)携帯電話事業者などを指す携帯電話インターネット接続役務提供事業者、(3)ISPを指すインターネット接続役務提供事業者、(4)フィルタリングサービス提供企業であるフィルタリング関係事業者の四つに分かれている。

 (1)ではリテラシーが十分でない保護者によるフィルタリング解除にどう対処するか、一部の自治体の条例で実施されているフィルタリング設定の義務化や解除制限といった保護者の判断を制限する取り組みをどう考えるか、保護者による青少年のインターネット利用履歴の閲覧を可能にするツールを提供すべきという意見をどうとらえるか、といった点が挙げられている。

 (2)や(3)では、携帯電話事業者やISPが保護者に対して説明すべき事項の範囲や、説明の主体が誰かについて議論する。範囲については例えば「フィルタリングを設定しないことが、違法・有害サイトで被害を受ける可能性が高いことを具体例を示す」「フィルタリングサービスに加入しても、人気の高いSNSサイトは閲覧可能と説明する」といったものである。携帯電話の契約時における説明の主体については、携帯電話事業者だけではなく、携帯電話の契約代理店に対しても説明の徹底を求めるべきとしている。

 (4)のフィルタリングサービス提供企業については、年齢層ごとに設定したフィルタリングについて、「高校生コース」などさらに分かりやすい表現にすべきという点や、フィルタリングの基準が保護者の視点や感覚をより反映したものとなる仕組みを作るべきといった点を挙げている。

スマートフォンやゲーム機のフィルタリングは…

 論点整理案では、スマートフォンなどの新たな端末におけるフィルタリング提供義務についても議論する方針を示した。今回の会合では携帯電話事業者の業界団体である電気通信事業者協会(TCA)およびゲーム機メーカーのソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の担当者から現状の説明がなされた。例えばNTTドコモのspモードフィルタなど、携帯電話事業者のスマートフォンでは概ねフィルタリングサービスが提供されていることが報告された。ゲーム機についても、ブラウザからインターネットに接続する場合に使えるフィルタリングソフトが提供されているといった青少年保護の取り組みが示された。

 説明後に構成員から、「iPhoneを利用している青少年に聞くと、フィルタリングサービスを使っているか認識していない話がある。どのようになっているのか」という質問が出た。これに対してTCAの担当者は、「iPhoneでフィルタリングをかける場合は、携帯電話事業者から手順書が渡されて自分で設定する」と説明した。

 iPhoneでフィルタリングをかける場合は、iPhoneからクレジットカードを登録するなどしてiTunesのアカウントを作成する。その後iTunesからフィルタリング用アプリケーションをダウンロードして起動させ、フィルタリングの基準を選ぶという手順になる。藤川氏は、「整備法ではフィルタリング提供がサービス提供の条件になっている。説明の書類だけで、フィルタリングの設定なしに青少年に端末を渡しているのは法に沿っているのか議論の余地がある」と指摘した。

 今後の青少年WGではこれらの論点について議論を進めていくことが、会合の中で確認された。

出典:日経ニューメディア 2010年11月15日号 13ページより
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