すべての小中学生がデジタル教科書を持つ環境作りを目指す民間団体「デジタル教科書教材協議会」(DiTT:Digital Textbook and Teaching)が2010年7月に発足した。DiTTには出版社や放送局、ゲーム会社、端末メーカー、広告会社、シンクタンクなど様々な企業が参加している。具体的な活動を開始した同協議会の今後の方向性について、同協議会副会長兼事務局長の中村伊知哉慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授に聞いた。(聞き手は西畑 浩憲=日経ニューメディア)

DiTT発足後、どういう体制で活動が進んでいるのか。また、議論の方向性は。

写真●デジタル教科書教材協議会 副会長兼事務局長の中村伊知哉慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授
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 協議会の発足と同時に、デジタル教科書/教材のモデルおよび教育環境の検討を行う「未来モデル委員会」と、ビジネスモデルや普及方策、実証実験の検討/実施をする「普及啓発委員会」を立ち上げた。また、実証実験の評価方法などを検討するために、教育学を専門とする有識者らによるアドバイザリーボードの設置に向けて調整している。

 「コンテンツ」や「協働学習」「アクセシビリティ」など、会員企業が自発的に発案したテーマに沿ったワーキンググループ(WG)も五つ活動を開始した。協議会としては「クラウド」や「端末」について検討を行うWGも必要と考えており、設置準備を進めている。7月の設立時に70社だった会員企業は、現在105社まで増えた。近く協議会としてのアクションプランを公表する予定で、さらにビジョンを策定する委員会を設置し、年度末にとりまとめる予定だ。

 さらに、これは必ずしも協議会の中の組織とは限らないが、教育現場で活躍する先生の方々が参加するコミュニティーを設置したいと考えている。既にTwitterなどを使ってそうしたコミュニティーが生まれつつあるが、これをより丁寧にしたようなものを考えている。

 全体会議は毎月1回、理事会は隔月、委員会は毎月1回の予定で開催している。理事会は隔月の予定だが、実際の頻度はさらに多い。

2020年では遅すぎる、全面導入を5年前倒し

文部科学省が示した教育の情報化に関するスケジュールでは、情報端末を全児童に配備する時期として2020年を目安としている。一方DiTTではこの時期を2015年に設定した。5年早めた理由は。

 2020年だと、諸外国の計画と比べて明らかに遅すぎる。韓国では2013年の全面導入を目指して準備を進めている。これに対して2020年では7年も遅れてしまうことになる。

 韓国で実証実験を行っている学校では、紙の教科書は家庭でのみ利用するという徹底ぶりだ。また、コンテンツの整備も政府が援助しながら計画的に進めていると聞いている。シンガポールもかなり早く整備すると聞いており、今後日本の検討スピードをどう上げていくかが重要になる。

大きな活動テーマの一つであるハードウエアに関するガイドライン作りは、どういうスケジュールで進めるのか。

 こちらも年度末には詳細を詰めて明らかにしたい。ただ、現時点で考えられる端末だけでも携帯ゲーム機やタブレット端末など様々なものがあり、ガイドラインとしてどこまでまとめるのか悩ましい部分もある。11年度にはこのガイドラインを基にした端末の開発を本格化したい考えだ。

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