「営業」や「生産管理」といった業務のモデルを作成する際に、業務を構成する業務機能のサイズがバラバラになることがよくある。ここでいうサイズとは、業務機能を実施する際の作業ボリュームのことである。

 「営業」を対象とした業務モデルを例に、具体的に説明しよう。「営業」の1階層下位の業務機能として、「受注活動」「契約・受注」「納期管理」「請求書発行」「入金確認」という五つを洗い出したとする(図1)。これらの各業務機能のサイズは業界・業種によって異なるが、一般に一つ目の「受注活動」が突出して大きい。受注活動は、「案件発掘」「提案」「見積もり」といった顧客に発注を決めてもらうまでに必要な業務機能をすべて含むからだ。一方、「請求書発行」「入金確認」という業務機能は、情報システムによる業務の効率化が比較的進んでいて、ほかの業務機能に比べてサイズが小さいことが多い。

図1●業務機能のサイズがバラバラな業務モデル(業務機能関連図)の例
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 このように業務機能のサイズがバラバラになる大きな原因の一つは、業務機能ごとの理解度に差があることだ。一般にITエンジニアは、詳しい業務については小さいサイズで、あまり詳しくない業務は大きいサイズで業務機能を洗い出す傾向がある。例えば「営業」に関して上記のようなサイズのバラツキが生じたとき、えてして担当のITエンジニアは「契約・受注」以降の業務について詳しく、「契約・受注」より前の業務については詳しくないものだ。

 業務モデルを構成する業務機能のサイズがバラバラになると、下記のような問題が生じる。

1. ほかに比べてサイズの大きい業務機能をあとで具体化する必要がある
2. ほかに比べてサイズの小さい業務機能の抜けや漏れが生じやすい
3. 業務機能同士の関連を整理しにくい

 これらはいずれも、作業の手戻り、システムの機能や入出力情報の抜け・漏れの原因になる。そこで、業務のモデルを作成する際には、構成要素となる業務機能のサイズをできるだけ同程度にそろえることが重要である。

 では、業務機能のサイズをそろえるにはどうしたらよいか。筆者が実践しているのは、洗い出した各業務機能について、さらにもう1段階小さいサイズに分解し、ほかの業務機能と作業ボリュームがそろっているかどうかを比較することである。その際には、利用部門に協力してもらうとよい。

 「営業」に関して業務機能のサイズをそろえる場合、例えば「受注活動」を「案件発掘」と「提案」に分解する。さらに、「請求書発行」「入金確認」の二つは、一つ大きいサイズの「請求・回収」として一つにまとめる。その結果、「案件発掘」「提案」「見積もり」「契約・受注」「納期管理」「請求・回収」となり、業務機能のサイズをそろえることができる(図2)。

図2●業務機能の大きさをそろえた業務モデルの例
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水田 哲郎(みずた てつろう)
日立コンサルティング シニアディレクター
1990年、日立製作所入社。製造業・流通業を中心にシステム企画や要件定義を担当。近年は、コンサルティング業務と並行して、パナソニック、キリンビジネスシステム、日立製作所グループなどでITエンジニア向けの研修講師を担当。2006 年、日立コンサルティングのディレクターに就任。2008年より現職