準グランプリ

 準グランプリを受賞した「電子手形決済システム」は、これまで紙で振り出していた手形を電子化するシステムだ。三菱東京UFJ銀行の100%子会社である日本電子債権機構(JEMCO)が構築した。

 電子手形は紙の手形の機能を電子的に実現するもの。2008年12月に施行された「電子記録債権法」で可能になった。

 紙の手形と異なり、受け取った企業が債権金額の一部を分割して他社への支払いに充てられるのが特徴だ。例えば1億円の電子手形を受け取った1次請け企業が5000万円を2次請け企業への支払いに充て、残りの5000万円を金融機関に買い取ってもらうといった使い方が可能になる(図1)。

図1●電子手形の振り出しから決済までの流れ
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 これにより大手企業が振り出した信用力の高い手形が、それを直接受け取る企業だけでなく、商流の先にある下請け企業に広く流通する道が開ける。不渡りになる可能性が極めて低いため、電子手形を割引する金融機関も中小企業が振り出した紙の手形よりも良い条件で割引する。紙の手形と違って印紙税がかからない利点もあり、中小企業の資金繰りの円滑化に役立ちそうだ。

 電子手形を振り出す企業や受け取った企業は、手元のパソコンからJEMCOの運営・管理システムに接続して、分割や譲渡、割引(資金化)を届け出る。債権者の名前や金額を含むすべての記録をJEMCOのシステムで集中処理するため、手形の盗難や偽造の心配はない。

 電子手形のサービスは、手形の発行・管理と、買い取りの二つに分けられる。親会社の三菱東京UFJ銀行はこの両方を提供する。同行と提携する地銀などの金融機関は買い取りだけを手掛ける。

 JEMCOの上原高志取締役企画部長は「現在10程度の電子手形の買い取りサービスを提供する金融機関を、今後さらに増やしていきたい。そうすれば電子手形の利便性がさらに高まる」と期待する。

 電子手形のサービスは2009年7月の開始から9カ月間で、すでに6000社以上が導入を決めている。JEMCOは2011年には導入企業を1万社に拡大させたい意向だ。

システム名:電子手形決済システム
稼働時期:2009年7月
協力ベンダー:NTTコミュニケーションズ、三菱総研DCS、ユーフィット
出典:日経コンピュータ 2010年7月7日号
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