全面リニューアルが暗転して3カ月近くもトラブルが続いた、NTTレゾナントのWebメールサービス「gooメール」。同社の事業責任者が本誌の取材に応じ、長期トラブルの原因を明らかにした。

 「反省するべき点はきわめて多い。ご迷惑をおかけした利用者の皆様には、深くお詫びする」。gooメール事業を統括する大町雄一取締役メディア事業部長は、無念さをにじませつつこう語る。3月31日にシステムを全面刷新、新サービスを提供開始した。

 その直後から、動作が極端に遅い、選択したものと別のメールが表示されるといったトラブルが発生した()。gooメールの利用者数シェアは4位(「インターネット白書2010」調べ)、メールボックスの数は1300万と、日本でも有数の規模を誇る。

図●「gooメール」のトラブルの経緯
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 トラブルの根本原因は、新サービス投入を急ぐあまり、品質確保の作業をおろそかにしたことだ。

 事前のテストは「推奨する動作環境では確実に実施した」(大町取締役)。OSはWindows XP/Vista /7、プロセッサはCore2 Duo 1.2 GHz以上、搭載メモリーは1Gバイト以上、WebブラウザーはInternet Explorer 6以降およびFirefox 3.5といったものだ。しかしIE 5など旧ブラウザーやISDN回線を使っている利用者も、数%ながら存在した。これら旧環境でのテストは手薄だった。

 新サービスの推奨環境は30~40代のビジネスパーソンや携帯電話を頻繁に使う女性といった、新たに取り込みたい利用者が主に使う環境を想定していた。そのテストを重視しすぎて「テスト条件の網羅性が下がってしまった」(同)。

 刷新直後に急きょ実施したシステム改修の不備が、トラブルを長引かせた。同社は新サービスが使いづらいという利用者の声を受けて、画面を改修。しかし「作業が拙速で、改修個所とは別の不具合を起こしてしまった」(同)。

 「元のサービスへ戻してほしい」という利用者の声が多数寄せられたものの、「戻せる状態にはなかった」(大町取締役)。切り替え後のメールは、旧システムには一切保存しなかったからだ。

 新システムは旧システムとは別に一から設計・開発したもの。データベースも別だ。旧システムは10年以上も使い続けた結果、容量や性能の増強には限界が来ていたという。「並行運用することも検討はした」(大町取締役)が、新システムの稼働を優先すべきと判断し、一斉切り替え方式を選んでしまった。

出典:日経コンピュータ 2010年7月7日号 p.9
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