Windows Azureは具体的にどんなことができるクラウドなのか。マイクロソフトは、Windows Azureを「クラウドOS」と表現する。もちろん“普通のOS”ではない。

Azureはアプリの実行環境

 Windows Azureは、図1-2の左のようにマイクロソフトのデータ・センターを1台のコンピュータと見なしたとき、その上で稼働するOSというイメージだ。詳しくは後述するが、実際稼働しているOSは別のものであり、Windows Azureはサービスの名前に過ぎない。

図1-2●Windows Azureはデータ・センター上で稼働するOS
Windows Azureとマイクロソフトの通常のOSを比較した。Windows Azureでは、ユーザーが必要に応じて「SQL Azure」や「.NET Services」といったサービスを利用できる。これらのサービス全体を「Azureプラットフォーム」と呼ぶ。社内システムで使う通常のOSやサーバー・アプリケーションは、ユーザーがライセンスを購入しないと利用できない。マイクロソフトは、社内システムを「オンプレミス・プラットフォーム」と呼んでいる。
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 ユーザーは、このWindows Azure上で自作のアプリケーションやシステムを実行する。また、Windows Azure上では、データベースの「SQL Azure」やアクセス・コントロールなどに使う「.NET Services」などを、使いたいときにすぐ利用できる。これらのサービスを含めた全体を「Azureプラットフォーム」と呼ぶ。

 通常のOSを使った社内システムと比較してみよう。図1-2の右がそれだ。マイクロソフトは、社内システムを「オンプレミス・プラットフォーム」(On-Premise:社内)と呼ぶ。オンプレミスでは、Azureが標準で用意していたサービス、例えばデータベースを使いたいとき、ユーザー自身がそのライセンスを購入しなければならない。一時的に必要なだけで後から不要になっても、ライセンスを返品できない。Azureでは、こういった無駄を省ける。

マイクロソフトが提供する安心感

 Windows Azureがほかのクラウドより優れている点は、「プラットフォームの統一性にある」とマイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 プラットフォームストラテジストの関田 文雄氏は説明する。

 Azureプラットフォームでは、マイクロソフトのソフトウエア実行環境の「.NET Framework」ベースのアプリケーションや、同社のソフトウエア開発環境「Visual Studio」で開発したアプリケーションが簡単に移行できる。またAzure上の「SQL Azure」は、同社のデータベース・ソフト「SQL Server」がベースになっており、SQL Serverを使い慣れているユーザーはSQL Azureでも違和感なく使える。これが、同社が言うプラットフォームの統一性である。

 なお同じような環境は、他のクラウドを使ってもゼロから構築できる。しかしWindows Azureは、マイクロソフトが.NET FrameworkやVisual Studio、SQL Serverを開発したソフトウエア・ベンダーとして提供している分、その動作が保証される。

 クラウドでは、米アマゾン・ドット・コムや米グーグルのサービスが先行する。電子商取引や検索サービスを提供するために構築したデータ・センターの一部を、商用サービスとして貸し出しているものだ。一方のWindows Azureは、マイクロソフトがこれまでソフトウエア・ベンダーとして提供していたものをユーザーが使いつつ、それを有効的に活用する場として提供している。だからこそWindows Azureは、既存の同社のプラットフォームとの統一性を意識した設計になっている。

出典:日経NETWORK 2009年10月号 pp.63-64
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。