経営コンサルタント
情報システムコントロール協会 東京支部 理事
日本ITガバナンス協会 事務局長
梶本 政利

 この連載では、IT投資のフレームワーク(枠組み)である「Val IT」の全体像を説明している。前回はIT投資計画を作成するための10のステップに触れた。今回は事例編として、筆者がコンサルタントとして以前に関与したシステム開発プロジェクトを取り上げる。

 システムは大規模病院における電子カルテを管理するものだ。プロジェクトは必ずしもVal ITのフレームワークに完全に従ったわけではなく、諸事情によってかなりカスタマイズして適用している。それでもシステムの評価基準やポートフォリオの作成方法など、参考になる点が多々あると思う。

紹介率向上を狙い、外来クリニックを新設

 筆者がコンサルタントとして呼ばれたのは、総ベッド数が1000床クラスの大病院である。病棟は老朽化が進んでおり、何年か後には建て替えを必要とするような状況だった。

 この病院は地域の医療拠点としての地位を維持するために、紹介率を高める必要性を感じていた。紹介率とは、初診患者の中で紹介患者(他の病院からの紹介状により紹介された患者)と救急患者が占める割合を表す数値である。しかし、紹介率は思うように上がらなかった。

 そこで理事長以下経営層は、外来専門クリニックを新たに建設し、本院(地域拠点病院)とクリニック間で役割分担を実施することを決定した。外来専門クリニックを旗揚げする際に、電子カルテを導入することも決めていた。ほかに以下を目標として掲げた。

  • 優秀な医師を安定確保すると同時に、今後も国の制度変更に伴い研修医を安定的に確保できる体制を整備する
  • 包括請求制度(DPC)の導入に対する準備を整える
  • 財務状況をさらに改善していく

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