著者は慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特別研究教授。日本経済新聞社で記者として長年IT分野を取材するとともに、同社のデジタルメディア戦略の企画立案に携わり、2010年3月からスタートした日本経済新聞電子版にもかかわった。その著者が、「現在のマスメディアの延長にデジタルの世界はない」と断言し、20年後である2030年のメディアの姿を描き出すのが本書である。

 「メディアは逆転する」と著者は言う。逆転とは、コンピュータの世界でこの20~30年の間に起きた「大きなものが有利」な世界から「小さなものが優位」な世界への転換、「集中と集権」から「自立と分散」への変化である。同じことがメディアの世界にも起きると著者は予測する。発信者が発信し受信者が受け取る「一対多」から、現在は多くの発信者が多くの受信者へ情報を発信する「多対多」の世界へと移っている。Googleは「多対多」の世界の王者であると著者は指摘する。

 そして次の段階として、爆発する情報の中から、テクノロジーが受信者に最適な情報を集約する「多対一」の世界が到来すると著者は予測する。その「多対一」の世界が実現するのが、表題である「2030年」であり、著者が描く究極の「メディアのかたち」だ。

2030年 メディアのかたち

2030年 メディアのかたち
坪田 知己
講談社発行
1050円(税込)