イスラエルZend Technologiesが開発、ゼンド・ジャパンが販売する統合開発環境(IDE)「Zend Studio 7 日本語版」が2010年4月26日に発売開始になります。Zend StudioはPHP専用のIDEで、2008年3月に国内で発売されたZend Studio 6.0でベース環境がオープンソースのIDEであるEclipseに変更になりました。

 今回発売になるZend Studio 7日本語版はEclipseの最新版である3.5をベースにしており、2009年末に英語版が発売になったZend Studio 7.1を日本語化したものです。稼働OSは、Windows 2000/XP/Vista/7/Server 2003、Linuxであり、対応するPHPのバージョンは4.x以降です。価格は4万7040円(税込)で、発売から6月末まではキャンペーン価格として4万1790円で提供します。1年間の期間ライセンスで、更新価格は2万790円(税込)となります。

大規模開発やチーム開発に対応

 Zend Studio 7日本語版の最大の特徴は、チーム開発や大規模開発を支援する機能を備えるようになることです。PHPが普及するにつれて、最近では、PHPで大規模なアプリケーションを開発することも増えてきました。こうした状況に対応するためのバージョンアップと言えます。

 具体的には、プロジェクト管理用プラグイン「Mylyn」のサポート、およびPHPのアーカイブファイルである「Phar」への対応の2点です。Mylynは開発プロジェクトにおいてタスク管理やコンテキスト管理を行うためのEclipseプラグインです。各タスクにおいて、いつどのファイルを変更したか、といったことを管理できます。Zend Studio 7日本語版では、PHPのソースコードと連携させるように設定したMylynをあらかじめインストールして提供します。

 Pharは、PHP 5.3から標準になったアーカイブ機能です。多数のソースコードファイルをグループ分けしてパッケージングし、Webサーバーにアップロードできるようになりますので、大規模システムの運用管理が容易になります。

Zend Studio 7は誰が使うべきIDEなのか

 今回筆者はZend Studio 7日本語版のプレビュー版をインストールしてみました。各機能をざっと使ってみた印象ですが、Zend Studioは、ある程度PHP開発の経験があるプログラマを対象としたIDEだと思います。今からPHPでWebアプリケーションの作成を初めてみようという新人プログラマには、オプションに書かれている用語や、システム、環境構築の面でハードルが高いと思います。

 一方、自分なりの開発スタイルを確立してしまっているベテラン・プログラマは、IDEを導入するとなると、今までの開発スタイルを変えなくてはならなくなります。言語によらず、軽量なテキスト・エディタでゴリゴリとコードを書いてきたベテラン層は、概してIDEのお仕着せ感を拒否する傾向にあります。こうした層のプログラマにとっては、抵抗感なくZend Studioに触ることができるかどうかが最初の難関になるでしょう。

 Zend Studio導入が一番効果を発揮するのは中堅層のPHPプログラマでしょう。具体的には、次のようなステップに入ったプログラマは導入を検討してみる価値があると思います。

  • いよいよチームを組んで開発することになった
  • ソース管理(SVNやCVS等)をきちんとやってみたい
  • ドキュメント作成について勉強したい
  • パフォーマンスの確認やチューニングを検討したい

 エディタ、Webブラウザ、ファイルをサーバーにアップロードするためのSSH(あるいはレガシーな手法としてFTP)クライアントの三つのツールで開発を進めてきたプログラマにとって、次のステップとしてマスターしなければならない機能が、Zend Studio 7に含まれているというわけです。

 Zend Technologiesのほかプロダクトである「Zend Server」(日本語版は未リリース)などと連携するオプションなどもあります。ただし、私が今回、既に固まっているWAMP環境上(これは執筆のための環境で実際の開発はLinuxで行っています)にZend Serverを導入してみたところ、何がどう変化して便利になるのか、どう連携できるのか、この環境を実際に設置するであろうLinuxサーバーにどう移行すればいいのかといった点は、今一つ不明瞭でした。多少しつこいくらいに解説したヘルプないし、製品には冊子として付けてもらえればなと思います。

機能としては十分な実力

 Zend Studioに限らず、統合開発環境というのは「コードを書く作業を簡単にしてくれるもの」というよりも、「別のツールを起動することなく開発と周辺機能を一元操作できる」部分にこそ存在理由があります。つまり、コーディング以外の部分を必要としている人のためのものなんですね。もちろんXDebugやPHPDocのようなツールを普段の開発環境にプラスする形で別途インストールして使い分けてもいいんですが、そういったツールをコマンドラインで個別に起動して使うのか、統合開発環境の中からメニュー一発で使うのかという違いを考えると、やっぱり開くウィンドウの数は少ない方が楽なような気もします。

 ただし、「統合されている周辺ツール」以外のツールを使いたくなったとき、例えばドキュメント生成にPHPDocではなく別のツールが使いたくなったときに、簡単には切り替えられないことは知っておかなくてはなりません。だから上級者は一見手間に見えても、お仕着せ感が強い統合開発環境を避けているんだともいえます。

 Eclipseベースであることからわかるように、本製品はプログラマ向けです。若干のHTML編集も可能ですが、Adobe DreamWeaverのようなWebデザイン系ソフトの機能は一切ありません。利用者は、基本的なHTMLについて習熟している必要があります。

 EclipseをベースとしたPHPのIDEということでは、EclipseとプラグインのPHP Development Tools(PDT)を組み合わせる手法もあります。実はこのPDTも、もともとはZend Technologiesが開発しているのですが、Eclipse + PDTという環境は「PDTはPHPエディタにフォーカスして機能実装している。そのため高度な開発には機能不足」(ゼンド・ジャパン)であり、高度なPHPアプリケーションの開発のために必要と思われる機能を搭載した製品がZend Studioであるという位置づけになっています。いわばEclipse + PDTの兄貴分です。

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