いつでも、どこでも必要なアプリケーションが手に入る─企業クライアントの理想がぐっと近づいてきた。鍵を握るのが仮想化だ。ユーザーのアプリケーションやプロファイルを機器から引きはがせる。機器が多様になってきた今こそ、ハードに依存せずに自在にクライアントを作りたい。

 タブレットやネットブックなど新たなパソコンが次々と生まれてくる。こうした端末を業務で使うには、シンクライアントであることが欠かせない。仮想化は、シンクライアントを実現する最有力の技術だ。

 もちろん仮想化は従来のパソコンにもメリットをもたらす。「デスクトップやアプリケーションの仮想化に企業は高い関心を寄せている。セキュリティや管理性の向上、業務や端末の集約によるコスト削減などに有効とみている」。ガートナー ジャパンの針生恵理シニア アナリストはこう話す。

 クライアントの仮想化には「仮想デスクトップ」と「アプリケーション仮想化」の二つがある(図7)。前者はOSとアプリケーションが、後者はアプリケーションのみがターゲット。導入コストはいずれも1クライアント当たり2万円前後からだ。

図7●クライアントを仮想化する技術・製品
仮想化の対象はデスクトップとアプリケーションの二つがあり、いずれもアプリケーションをサーバー側で管理できる
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仮想マシンがデスクトップを提供

 クライアント仮想化の中で、今最も注目を集めているのが仮想デスクトップだ。仮想化ソフトを使ってサーバー上に複数の仮想マシンを稼働させたうえで、それをユーザーに割り当てる。仮想マシンにWindows 7やVistaといったクライアントOSとOfficeなどのアプリケーションを導入し、ユーザー個別のデスクトップを作り上げる。これにより、タブレットのような端末であっても、必要な業務アプリケーションが利用できるわけだ。

 主な製品には、シトリックス・システムズ「Citrix XenDesktop 4」とヴイエムウェア「VMware View 4」、マイクロソフト「VDI(Virtual Desktop Infrastructure」がある。シトリックスとヴイエムウェアは昨年11月に相次いで最新版を提供。VDIは同9月に出荷開始したWindows Server 2008 R2の新機能だ。

 仮想デスクトップでは、計算や検索といったアプリケーションの処理はすべて、サーバーの仮想マシン上で行う。その処理結果を端末へ“画面転送”して表示させる仕組み。これによりシンクライアントを実現する。

 画面転送は新しい技術ではない。「Citrix XenApp」や「Microsoft RDS(リモート・デスクトップ・サービス)」など、アプリケーション仮想化で使われてきた。利用実績が十分ある半面、通信プロトコルのオーバーヘッドでネットワーク遅延が起きる、プリンターを始めとする周辺機器が扱いづらいなどの弱点が指摘されてきた。

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