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ラリー・ストーン 英BTグループ パブリック&ガバメント・アフェアーズ部門
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 2009年12月にデンマークのコペンハーゲンで「国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議」(COP15)が開催された。最終合意がなかなか取れなかったため,何かと批判の対象になっている。しかし,そこで発表された「コペンハーゲン合意」(Copenhagen Accord)は,今後の重要な方針を示した。具体的には「全世界の気温を平均2度下げる」,「すべての国が気候変動に対して行動を起こす」,「先進国が途上国に対して300億ドルを短期的に出資し,向こう3年でCO2排出量抑制政策を具体的に実施できるように支援する」,「先進国は,途上国に対する長期基金として2020年までに100億ドルを拠出する」といった重要項目が含まれている。

 ただし,問題はこの合意に拘束力が無いことだ。それが,会議以前の期待にそぐわなかった大きな理由かもしれない。しかし議論は盛んに行われ,方向性も示された。私としては,一歩先に進んだと確信している。

ICTの役割がますます重要に

 テクノロジーとイノベーションは環境に大きな影響を与える。気候変動にかかわるテクノロジーとしては,バイオ燃料や原子力などが大きく取り上げられている。その一方でエネルギーの効率的な利用に関する指摘が比較的少ないように見える。

 私たちを取り巻く環境の中において,この40年間で最も変化を遂げたのはICTだ。私たちは情報に自由にアクセスできるようになった。場所も時間も関係なく,仮想的なビジネスを立ち上げることが可能だ。

 先進国は,2050年までにCO2排出量を1990年比で80%にまで削減することを期待されている。さらに英国には環境保護法があり,2050年までにすべての発電,交通機関や自動車,それに家庭や会社などがカーボン・フリー化を求められている。エネルギーの効率利用を可能にするICTの役割が,今後一層重要になるだろう。

 欧州の政治では,ICTが排出量削減の中心的役割を果たすようになってきた。2009年には欧州委員会によってグリーンICTの提案が発表された。そしてICT自体の効率化と併せて,ICTを活用することによって他の分野でのスマートなエネルギー利用を実現することなどを目指している。

 ICTの分野では,ビデオ会議や在宅勤務を可能にするワークスタイル・マネージド・サービスなどエネルギー利用の効率化につながる製品が既に登場している。今後はスマート・グリッドやスマート・シティなども発展するだろう。

 ICTの進展に伴って,産業を横断する形でスマートな機能の融合が進むことは明らかだ。そして,それが同時に環境問題に対する解答になる。ICTは,これまでの行動を妨げることのない低炭素社会を実現する上で,中心的な役割を担う。それに加え,ビジネスを人々と地球の双方に利益を与えるやり方に変える方法も示すだろう。これらを促進する上でも,コペンハーゲン合意は意味があったと考えている。

ラリー・ストーン(Larry Stone)
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 年明けの英国は大雪だった。気候変動のためか分からないが,かつてないほどだった。雪の少ないエジンバラでも大雪だ。エジンバラでこの雪を利用してアイス・フェスティバルをやれるかもしれないと思ったが,同時に札幌の雪祭りを思い出した。あの豪華なフェスティバルは国宝級である。
出典:日経コミュニケーション 2010年2月1日号 p.73
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