本研究所では、日本と海外のIT技術およびその利用方法を比較し、両者の間にある格差について考えている。2010年2月2日、ソフトバンクがビデオストリーミングサービスの米Ustreamに出資すると発表した。「孫社長がなぜUstreamへの出資を決めたのか」について、非常に興味を覚えた。今回はテレビとインターネットの情報格差について検証してみよう。

“日本で”という発言が、もう日本人

図1●米UstreamのWebサイト
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 ソフトバンクによるUstreamへの出資が発表になる前、ある海外の友人が「日本の孫正義には、どうすれば会えるのか?」と尋ねてきた。彼はなぜ、孫社長に会いたいのかは言わなかったが、きっとUstreamのことだったに違いない(図1)。

 筆者とその友人が、孫社長のことで話をするのは、これが初めてではない。孫社長が米ヤフーに出資した時には、こんなやり取りもあった。

 「日本で即決して出資するのは孫さんしかいないな」と筆者が言ったところ、彼は「“日本で”という発言をする君が、もう日本人だね。世界でもあのスピードで決断できる人はそうはいない」と指摘されたのだ。その時は、筆者自身は“日本”というものさしで世の中を見ているつもりはないと思っていたが、「はっ」とさせられた瞬間だった。

Twitterとの相性が良いUstream

 今回も、彼から連絡があったときに何か「はっ」とする感覚があった。動画ストリーミングサービスとしてのUstreamは以前から興味を持っていたが、今回改めて印象付けられたことは、Twitterとの相性の良さである。

 時系列で考えると、YouTubeと掲示板では、入力画面とレビュー画面が別れている。これに対し、UstreamとTwitterは、入力画面とレビュー画面が同一画面上にある。ユーザーが使う画面にリアルタイム性が醸し出されている。リモコンのスイッチを押したらテレビが映り、しかもLIVEな内容が見られるのと同じなわけだ。

 これまでも動画関連のサービスは、有料のテレビ会議や、無料のskypeにカメラをつないだサービス、YouTubeやニコニコ動画など、いくつも登場してきた。しかし、「Ustream+Twitter」が、それらと違うのは、リアルタイムな情報同士をマッシュアップしたことにより、前述のソフトバンクの決算発表会の例で言えば、「まるで孫社長がすぐ近くにいるような感覚」を得られる点ではないかと思う。

 種々のサービスにおいて、筆者は技術力が最も重要だとは感じていない。確かに、1対多あるいは多対多を実現する技術やリアルタイム性を提供する技術は、常に“それまで”より優れていなければならない。しかし、より重要なことは、「人間の思考に合うインタフェースを提供できるかどうか」という点にあるのではないだろうか。これは、ユーレットでも気遣っている点だ。

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