米Microsoftとオンライン小売事業の米Amazon.comは、包括的な特許クロスライセンス契約を結んだと発表した。契約の対象には、大人気の電子ブック・リーダー「Kindle」で使われている技術も含む。MicrosoftはAmazon.com以外とも同様のクロスライセンス契約を結んでおり、その数は600件以上にのぼる。契約の主目的は、Microsoftが「当社の特許を侵害している」と主張するLinuxおよびオープンソース技術を、訴訟の心配なく使えるようにすることである。

 Microsoft副社長のHoracio Gutierrez氏は「Amazon.comとの特許ライセンス契約を歓迎する。当社はソフトウエア業界で最大かつ最強の特許群を保有している。今回の契約締結は当社とAmazon.comが互いの知的財産を尊重していることの表れであり、両社がプロプライエタリとオープンソースの区別なくソフトウエアの特許問題を実際に解決ことを示す証拠だ」と述べた。

特許訴訟を回避する代わりにAmazonがライセンス料を払う

 Microsoftと契約したことで、Amazon.comはKindleで採用しているオープンソース/プロプライエタリ・ソフトウエア部品と、サービス用インフラで使っているLinuxサーバーに関する特許侵害訴訟から逃れられる。Amazon.comはその見返りとして、具体的な金額を明らかにしていないがライセンス料をMicrosoftに支払う。

 オープンソースの支持者たちは「Microsoftが怪しげな特許で不正な利益を得ているうえ、法廷で争う力のない企業に訴訟という脅しをちらつかせている」と考え、以前からMicrosoftの特許クロスライセンス契約を批判している。だが、600件以上も契約を結べたということは、Microsoftはほとんど拒否されない条件を提示しているはずだ。契約相手には、米Appleや韓国LG Electronics、米Novell、韓国Samsung Electronicsといった技術面に強い企業が名を連ねている(MicrosoftとLG電子がクロスライセンス契約,Linux搭載デバイスも対象に/MicrosoftとNovell提携,仮想化とオフィス文書でLinuxとWindowsの相互運用性拡大,特許も相互開放/MSとSamsungが広範な特許のクロスライセンス契約を締結)。

 Microsoftとの契約を拒否した企業はあるが、うまくMicrosoftに対抗できた例はこれまでない。例えばMicrosoftは2009年、特許8件が侵害されたと主張してGPSナビゲーション・メーカーのオランダTomTomを提訴した。対象特許のうち3件が、TomTomの採用していたLinuxに関係するものだった。最終的にTomTomはライセンス料の支払いを受け入れてMicrosoftと和解し、問題となったファイル管理関連特許の技術を自社製品から削除することで合意した(関連記事:MicrosoftとTomTomが和解,ライセンス契約を締結)。

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