M2M(machine to machine)とは,一般には機械と機械がネットワークを介して相互通信する形態を指すが,米国では,携帯電話やコンピュータ端末以外のデバイスに対して第3世代携帯電話(3G)などの携帯電話ネットワークを提供する取り組みを指す。M2M戦略を強化している米国事業者の動向を解説する。

(日経コミュニケーション編集部)


武田 まゆみ/情報通信総合研究所

 M2Mへの取り組みとして顕在化している分野に電子書籍市場がある(表1)。 例えば,米アマゾン・ドットコムの「Amazon Kindle(キンドル)」は,米スプリント・ネクステルが提供するネットワークの接続環境を組み込んだことで話題になったが,世界向けの新型Kindleではその役割を米AT&Tモビリティが担うようになった。AT&Tは,Kindle以外にもソニー製「Reader Daily Edition」や米バーンズ&ノーブルのAndroid搭載端末「Nook(ヌック)」,米プラスチック・ロジックが近く発売予定の電子書籍端末にもネットワークを提供する。

表1●米国の携帯電話事業者各社のマルチデバイス戦略
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 同様に,ベライゾン・ワイヤレスもプラスチック・ロジックと電子書籍端末へのネットワーク提供で提携するなど,各社の動きが活発化している。

 しかし各社は電子書籍端末だけに注力しているわけではない。車載端末や家庭のエネルギー管理システム,自動販売機など様々なデバイスが携帯電話ネットワークにつながり始めている。

 ここへきてM2Mの取り組みが脚光を浴びている理由には,モバイル・ブロードバンドのカバー範囲が拡大するとともに速度が固定網並みになりつつあることから,M2M市場が急拡大していることがある。あるベンダーによれば,2014年にはブロードバンド回線の利用機器の80%が携帯電話のネットワークを利用するようになるという。

M2M専門部署を新設したスプリント

 スプリントは米国でM2Mに最も積極的な事業者である。既に,同社のネットワーク上で稼働するサードパーティ製品を300近く認定している。この中には,Kindleのほか米フォード・モーターの自動車に搭載されるダッシュボード・コンピュータや,車載カメラで撮影した運転中の行動を解析して安全運転を支援する「ドライブカム」のオンライン解析システムなどが含まれる。

 これらは,M2Mサービス提供事業者がスプリントのMVNO(仮想移動体通信事業者)となってユーザーに提供するものだ。一方で,米ヌメレックスや米M2MデータスマートといったM2Mサービス・プロバイダは,自らはMVNE(仮想移動体通信支援業者)となってスプリントから卸売りを受けたネットワークをさらにMVNOに卸売りすることで,より多くのM2Mデバイスにサービスを提供している。

 こうした取り組みに加えてスプリントは2009年10月,M2Mとコンピュータ・デバイスの新規ソリューション部門「Emerging Solutions Unit」を自社内に立ち上げ,ユーザーに直接M2Mソリューションを提供していくことを明らかにした。遠隔モニタリングをはじめ,人や物のトラッキング,車両管理,テレマティクス,テレメトリング,スマート・グリッドなどを提供していくという。

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