米Microsoftは2009年12月第3週、欧州連合(EU)加盟国において、「Internet Explorer(IE)」とほかのWebブラウザとを入れ替える手段を消費者やパソコン・メーカーに提供し、欧州競争法に関する大きな係争をやっと終結させた。同社にとってIEが重要な戦略的意味を持つことを考えると、この対応は極めて大きな譲歩といえる(Microsoftは現在の主要収益源であるパソコン、サーバー、オフィス製品市場の多くを支配しているものの、コンピュータ業界はクラウド環境へ向かっており、そこではWebブラウザが中心的なインタフェースとなる。関連記事:MicrosoftとEC,WindowsとIE抱き合わせ販売の問題で決着Microsoft,欧州のWebブラウザ問題でOperaにさらなる譲歩)。

Take1:IEのエンジンとしてWebKitを採用?

 なぜMicrosoftはこれほど大きな譲歩をするのだろう。主要製品であるWindowsに多くの哀れなライバル企業をわざわざ招き入れるのには、何か理由があるのだろうか(ペプシコーラ1缶とコカ・コーラ6本パック1つを交換するようなものだ)。今後の展開について常識から導き出した筆者の推測は以下の通りだ(つまり、筆者は内部情報を全く持っていない)。

 MicrosoftはIEのWebレンダリング・エンジンを捨て、唯一理にかなう選択肢である、米Googleの「Chrome」や米Appleの「Safari」で使われている標準ベースのレンダリング・エンジン「WebKit」を採用するだろう(採用できるし、するべきだ)。そうすれば、IEの構成要素のなかでも真に戦略的な部分へ集中できるし(例えば、OSとの接続部分や利用者思いのユーザー・インタフェースなど)、同社からみて重要でなく、ライバルから入手可能な部分(つまりWebレンダリング・エンジン)に時間や費用をつぎ込むこともやめられる。

 欧州における譲歩についてはこう考えたらどうだろう。Microsoftはいくつかある世界最大規模の市場の1つでIEをあきらめるにすぎない。あきらめたものが自分たちにとって重要でないなら大した意味などないのだ。これが筆者の推測だ(関連記事:MicrosoftがIEのレンダリング・エンジンを「WebKit」に変えることなどないだろう)。

Take2:「Windows 7」の成功を示す真の尺度、問い合わせが減少

 「Windows 7」がMicrosoftにどれだけの成功をもたらしたのかを数値化する尺度は、好評一色のレビュー、大喜びしているユーザー、パソコン販売の増加、市場シェアの拡大などいくらでもある(関連記事:「Windows 7発売時の販売本数はVistaの3倍以上」,米NPD Group調査Windows 7発売で再び波に乗るMicrosoft)。ただし、Windows 7の成功を測る正確な手段が必要なら、コール・センターの問い合わせ件数はどうだろうか。

 Microsoftのコール・センターにかかるサポート電話の数が、Windows 7の発売で激減したのだ。その減り具合は、同社の予想より大きかった。Microsoft顧客サービス部門バイス・プレジデントのBarbara Gordon氏も「コール・センターで問い合わせ件数が予想以上に減っている」と話している。問い合わせ件数の減少はWindows 7のヘルプ機能とMicrosoftがオンライン提供しているヘルプ・サービスの効果だけでなく、Windows 7がこれまでの製品より使いやすく、問題が少ないという点も大きい。

 Microsoftのヘルプ・デスク担当者は、空いた時間を使ってAppleの抱えている最新版OS「Snow Leopard」および新型「iMac」絡みの問題解決を手伝えるかもしれない(関連記事:Apple,次期OS「Snow Leopard」を8月28日に発売Apple,Core i5搭載のiMacなど新機種発表,ユニボディのMacBookも)。

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