アビームコンサルティング
フェロー
徳田 弘昭

 前回は、ビジネス全体の統制を効率よく、かつ経済的に実施できるようにするための「ビジネスシステムの断絶を防ぐ6つの仕組み」を説明しました。6つの仕組みは以下の通りです。

(A)業務プロセス全体の可視化
(B)業務プロセスとアプリケーションの接続
(C)正確な稼働記録の獲得
(D)関連情報のDB化
(E)関連情報の自動獲得
(F)関連のトレースと表示

 今回から具体的な説明に入ります。今回は(A)業務プロセス全体の可視化、および(B)業務とアプリケーションの接続を取り上げます。

(A)業務プロセス全体の可視化

 1つ目は、企業全体の業務プロセスやルールを文書に記述し、その文書やルールを適切に維持・保守する仕組みです。既存のアプリケーション群を全社の業務プロセスに当てはめてみると、図1のように表現できます。

図1●業務プロセスとアプリケーションの結合
[画像のクリックで拡大表示]

 図1の中心を成すのは、「(全社)業務プロセス」の部分です。作成の手順は以下のようになります。

  • 全社の業務規定や職務記述書から、全社業務の一覧(職務構成図)を作成する
  • 業務一覧を元に、業務プロセスを作成する
  • 全社で使用しているアプリケーション・ソフトを業務プロセスに割り付ける

 図1で、全社の業務規定や職務記述書から全社業務の一覧(職務構成図)を作成します。(図1の左側)

 (全社)業務プロセスで「企画」「製品開発」などはプロセスを構成する業務を、その横の色の付いた「xxxxx」が業務で利用するアプリケーション・ソフトを表します。アプリケーションには、全社サーバー上で動く基幹アプリケーションから、各クライアントで動くオフィス・ソフトまでを含みます。

 業務の中にはアプリケーションを使用しないものもありますが、業務で使うアプリケーションはすべて網羅することが重要です。そうすることで、全社の業務プロセスとすべてのアプリケーションの状況を“見える化”できるからです。

戦略目標と業務プロセスとの関係づけも必要

 IT統制の観点からは、戦略的な目標と業務プロセスとの関係づけも重要です。例えば、「製品を受注日の翌日までに客先へ納品する」のような企業戦略に基づく目標は、販売プロセスと物流プロセスが深く結びついていることを明示的に把握できるようにする必要があります。

 図1の左側にある「戦略」と「(全社)業務プロセス」の関連は、そのことを示しています。これで戦略からアプリケーションに至る企業行動全体が見えるようになります。

 人、物、資金といった企業内の資源(リソース)の使用状況を図1に割り当てると、さらに見える化の効果が増します。業務プロセスと関連付けて資源の利用状況を把握すれば、企業の行動指針の一つである「企業目標に従って資源を最適に配分する」方策が見えるようになります。

 いま、業務プロセスで何らかの不具合や問題が発生したとします。図1では、「…」の右に青く示した部分がその個所です。この図を使って、不具合や問題が発生した業務と関連した職務やアプリケーションを特定し、そこに資源を再配分することで、最適配分が可能になります。

 これまでのアプリケーションの多くは、特定の業務あるいは事象に焦点を当てて、個別の業務合理化を追求してきました。これからは、全社あるいは全アプリケーションの視点から俯瞰できる仕組みが必要であることがお分かりでしょう。

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