米Googleは携帯電話機向けソフトウエア基盤「Android」をリリースした。これにより,2010年にはモバイル市場の主要企業になろうとしており,モバイル戦略の準備も整ったようだ。「さまざまなデバイスに搭載して携帯電話キャリアへ販売できるソフトウエア・プラットフォームを端末メーカーに提供する」という戦略を見ると,同社の手本は明らかに米Microsoft,フィンランドNokia,カナダResearch in Motion(RIM)である。ところが,同社はひそかに別の計画を練っていて,別のライバル企業を見据えているらしい。2009年第2週の週末に流れた報道が正しければ,Googleの狙いは1社しかない。その企業は米Appleだ。

 このうわさは,Googleの公式ブログに投稿された記事から始まった。それによると,同社の社員たちが名前の付いていないAndroid搭載モバイル・デバイスで「実験的なモバイル機能」のテストを行っているというのだ。Google副社長のMario Queiroz氏は,同社のモバイル関連ブログで「先ごろモバイル・ラボというコンセプトを思いついた。それは革新的なパートナ製ハードウエアとAndroid上で動くソフトウエアを組み合わせたデバイスであり,世界各地の社員に配布した。このデバイスを使えば,新たな技術を試験したり改良したりできる」と書いた(関連記事:Googleが独自のAndroid携帯端末,来年にも直販開始へ---米メディア報道)。

iPhoneとよく似た「gPhone」発売のうわさが流布

 ブログ・コミュニティはこの記事を見逃さなかった。うわさは一瞬で膨らみ,このデバイスこそ以前から話題の「Google Phone」または「gPhone」で,GoogleはAppleと直接対決する,という内容になった(米New York Times紙はこの対決を「端末と端末の争い」と称した。関連記事:「Google Phone」の発表は2週間以内)。ミニブログ「Twitter」などに流れた写真を見ると,このデバイスはハードウエア・キーボードがなく,大きなタッチスクリーンを備え,丸みを帯びたスリムな形状をしており,Appleの「iPhone」とそっくりだ。

 米Wall Street Journal紙の12月13日付け記事は,このうわさに信ぴょう性を与えた。その記事は,「Googleは2010年に自社製の『Nexus One』という携帯電話機を直接消費者に販売する」と報じた。SIMロック・フリー端末をオンライン販売し,携帯電話キャリアは制限しないという。GSM方式のデバイスであり,米国では精彩を欠いた米AT&Tと米T-Mobile USAのネットワークでしか使えないが,世界各地のGSMネットワークで利用可能だ(魅力的な米Verizon WirelessのネットワークはCDMA方式でGSMと互換性がない)。

 Googleが自社製デバイスを販売すると,ほかのAndroid端末を扱っている携帯電話キャリアと直接争うという状況に陥りそうだが,各紙の報道では必ずしも問題にならないとしている。Nexus Oneは販売奨励金の支払い対象でないため価格が数百ドルになる見込みで,消費者が一括前払いするには高額だからだ。現在のところ,奨励金付きAndroid端末は100~200ドルで買えるものが多い。この戦略は,Googleと同社の顧客にとって一石二鳥である。つまり,Googleは自分たちで好きなように作れるNexus Oneを直接iPhoneにぶつけつつ,ほかのデバイスと争える多彩な奨励金付きAndroid端末を携帯電話キャリア経由で出せる。

 Googleはこのコンセプトに触れたブログ記事を掲載しただけで,うわさやWall Street Journal紙の報道内容を認めていない。ただし,Googleが以前より「Android Dev Phone」および「Google Ion」という2種類のAndroid携帯電話機を消費者に直接オンライン販売している点は注目しておこう(関連記事:Google,Android用SDKの新版とアプリ試験用のSIMロック・フリー端末を提供)。どちらの端末も,販売面では目立たない存在である。違いは分かりにくいが,Nexus Oneは何かが違うのだろう。

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