講演
費用対効果の議論は無意味---武蔵大学 教授 松島桂樹 氏

松島桂樹教授
武蔵大学 教授
松島桂樹 氏

 不況の影響もあり、費用対効果を厳しく査定してIT 投資を決めようとする見方がある。これに対して、武蔵大学経済学部の松島桂樹教授は「IT 投資の意思決定と費用対効果は別の話」と主張した。

 松島教授は「プロジェクトを分類して、そのなかで予算配分の比率を調整していくのがCIO の仕事」と強調。こうしたIT 投資の意思決定において「費用対効果の議論はいくらやっても意味がない」と言う。「鉛筆をなめれば、費用対効果の数字は作れてしまう。大事なのは、住民の幸福度を高めるにはどういった政策が必要で、そのためにどうIT を生かすのかという議論だ」と言い、達成すべき目標を利用部門と共有することが重要とした。

 例えば自治体システムでは、市民の幸福度を高める「住民価値の創造」「住民への情報支援」や、行政の効率を高める「業務システムの改善」「インフラの更新」といった4 タイプに分類できる。タイプごとにIT 予算の分配比率を決め、トータルの予算の増減にかかわらず比率は維持する。そして、個別プロジェクトに優先順位を付けて投資していく。

 とはいえ、不況のなか自治体のIT予算は減少傾向にある。この課題への対策として、クラウドコンピューティングの利用とアジャイル開発の適用を挙げた。

 特にアジャイル開発は重要という。「大規模なシステム開発は無駄が多い。完成まで4~5年かかるシステムの場合、間違いなく設計時と完成時にはシステムへのニーズが変わっている。使わない機能が出てきたり、変更が必要になる」。プロジェクトを小分けにして、必要な機能を必要なタイミングで開発するスタイルに変えるべきとした。

■変更履歴
本ページの写真の説明文を「早稲田大学 教授 小尾敏夫 氏」としていましたが,「武蔵大学 教授 松島桂樹 氏」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/12/11 11:50]

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