米ベライゾン・ワイヤレスは2009年5月,WAN側に第3世代携帯電話(3G),LAN側に無線LANを利用できるポータブル無線ルーター「MiFi 2200」を発売した(2009年10月9日公開記事を参照)。このような機器の登場が,今後のモバイル通信市場全般に対してどのような影響を与えるのかを検証する。

(日経コミュニケーション編集部)


岸田 重行/情報通信総合研究所 主任研究員

 ポータブル無線ルーターとは,WAN側に3Gなどのモバイル・サービスが使えるルーターのこと。米ベライゾン・ワイヤレスと米スプリント・ネクステルが採用したMiFi 2200のほか,韓国でも韓国版WiMAX「WiBro」に対応する機器が発売されている。日本でもウィルコムの「どこでもWi-Fi」や,インターネットイニシアティブ(IIJ)やハイホーが提供している「クティオ」などが発売・発表済みだ(表1)。

表1●主なポータブル無線ルーター
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トラフィックの予測が困難に

 これらの機器を使えば,従来,携帯電話網にアクセスできなかった無線LAN端末が携帯電話網につながるようになる。これは通信事業者に対する大きなインパクトになりそうだ。というのも,例えば国内市場の無線LAN対応機器を見ても4000万台以上あり,ポータブル無線ルーターの普及とともにこれらが移動通信網につながる可能性があるからだ。これは,移動通信網のトラフィック予測にとって大きな不確定要素となる。トラフィック予測は基地局設備の投資計画にも密接に結びついており,需要を見誤ると通信サービスの提供に支障を来す恐れもある。

 また,端末でどのようなアプリケーションが実行されるかの把握も難しくなる。これまでのように網につながる機器の大半が携帯電話なら,どのようなアプリケーションが実行されるかはだいたい把握できた。しかしポータブル無線ルーターを使う場合,通信事業者はルーターまでしか通信状況が分からない。ルーターにどんな端末がつながり,端末上でどんなアプリケーションが動くのかを判別するのは難しい。

 移動体事業者だけでなく,固定事業者にも影響が及ぶ可能性がある。やはりトラフィックへの影響だ。これまで固定ブロードバンド回線経由で無線LAN機器を使っていたユーザーがポータブル無線ルーターを併用すれば,トラフィックが固定から移動へオフロードされることが考えられる。

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