2011年7月24日の地上アナログテレビ放送の終了によって空くVHF帯を利用した携帯端末向けマルチメディア放送の実用化に向けて準備が着々と進められている。

写真1●TOKYO FMの仁平成彦氏(右),メディアフロージャパン企画代表取締役社長の増田和彦氏(中央),マルチメディア放送代表取締役社長の石川昌行氏(左)
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 このような状況の中,この携帯端末向けマルチメディア放送のVHFハイバンドを利用した全国向けマルチメディア放送への参入を目指すマルチメディア放送とメディアフロージャパン企画,VHFローバンドを利用した地方ブロック向けマルチメディア放送への参入を目指すTOKYO FMが一堂に会し,「2011年に向けての携帯端末向けマルチメディア放送への取り組み」と題したパネルディスカッションを2009年10月6日に実施した(写真1)。

 携帯端末向けマルチメディア放送は,VHF帯ローバンド(90M~108MHz)の18MHz幅とVHF帯ハイバンド(207.5M~222MHz)の14.5HMz幅で実施される予定の「次世代ワンセグ」と位置付けられている放送である。VHFローバンドは「地方ブロック向けマルチメディア放送」と都市部で最大半径10kmの範囲の地域を放送対象地域とした「デジタル新型コミュニティ放送」,VHFハイバンドは「全国向けマルチメディア放送」が予定されている。

「サービスを体感してもらえる名称でアピールすべき」

 2009年10月16日,総務省情報通信審議会情報通信分科会は,放送システム委員会が策定した「携帯端末向けマルチメディア放送方式の技術的条件(放送システム委員会報告)」(発表資料)を答申。国の放送方式として,日本の地上デジタル放送方式をベースとした「ISDB-Tmm(ISDB-T for Mobile Multimedia)」方式と米クアルコムが推進する「MediaFLO」方式,日本の地上デジタル音声放送方式「ISDB-Tsb(Services Digital Broadcasting-Terrestrial for Sound Broadcasting )」方式をベースとしたISDB-Tsb拡張方式を正式に決定した。

 携帯端末向けマルチメディア放送サービスは,ワンセグよりも高画質なリアルタイムのストリーミング放送や5.1chサラウンド放送に加え,IPパケットを使った映画や音楽,ニュース,電子書籍などのコンテンツのダウンロード放送,メタデータを使ったVODサービスなどが提供される。特に3方式とも,1チャンネルで利用できる帯域を時間帯によって可変にできるため,ユーザーが眠っている深夜にリアルタイム放送枠を減らし,空いた帯域を使い大容量の映画やドラマなどのコンテンツを配信し,ユーザーがあらかじめ端末に登録しておくことで,好みの番組だけを蓄積できるダウンロード放送が期待されている。

 今回採用された3種類の技術方式は,3方式とも映像符号化方式がH.264,映像の最大解像度が720×480ドット,映像の最大フレームが30フレーム,そして音声符号化方式がMPEG-2 AAC+SBR+PSとMPEG Surround,5.1chサラウンドと共通だ。ただし,ダウンロード放送サービスを提供するための技術方式に違いがあるものの,実現されるサービスは,ユーザーからみると大差ない。メディアフロージャパン企画代表取締役社長の増田和彦氏は,「ISDB-TsbやISDB-Tmm,MediaFLOといった方式の違いをアピールする必要はなく,かつマルチメディア放送を強調してもユーザーには難しく感じてしまうため,分かりやすいサービスを体感してもらえる名称でサービスをアピールした方が良い」と述べる。マルチメディア放送代表取締役社長の石川昌行氏も,「ユーザーにとってのメリットは何かを伝えるべきである」と説明した(表1)。

表1●答申された携帯端末向けマルチメディア放送の技術方式
表1●答申された携帯端末向けマルチメディア放送の技術方式
ROHC:robust header compression,携帯電話システム大手のスウェーデンのエリクソンが開発したヘッダー圧縮アルゴリズム
出典:総務省情報通信審議会放送システム委員会報告概要を基に著者が作成
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