「技術を話せなければ会話の幅が狭まる」と考え、常に1冊は技術の本を読んでいる。システム手帳には、顧客と社内の情報を書き込む。
 アイアイジェイテクノロジー(IIJテクノロジー)の関西地区で、大手顧客の案件をほぼ一人で引き受けているのが山家秀樹である。平均して半年に1件は新規の大手顧客を獲得し、8年連続で営業目標を達成してきた。

 大手顧客が相手なだけに、競合状況はいつも厳しい。同じ顧客に、8人の営業担当者を送り込んでいる企業もある。

 こんな状況でも山家が営業目標を達成できる理由は、粘り強さにある。他社に決まりかけた案件を、山家は何度となく覆してきた。

 「すんなり決まる案件なんて、今まで一つもなかった。他社に決めようとして当社の提案を顧客が断ろうとするときが、最も燃える」と山家は言う。

 あるコンペでは、最後の2社に残ったが、「価格面でもう1社に決めようと思っている」と顧客から言われたことがあった。山家は食い下がり、他社と価格差が生じる理由として、自社の提案のどこが他社よりも優れているかを説明した。

 そして、価格を下げるためにシステムの信頼性や処理速度を、どの水準まで下げても構わないのかを顧客に聞いた。このとき出てきた顧客からの要求を基に再提案した結果、受注を勝ち取った。

 「信頼性や処理速度についての限界点を、最初の提案依頼のときに聞くのは難しい。断ってくるタイミングだからこそ、相手は本音を話してくれる。今まで知らなかった潜在的な要件や、商談中では気付いていなかった顧客の本心が分かる。これらをくみ取った提案を作れば、逆にチャンスになる」と山家は話す。

 提案内容にも手を抜かない。SEに依頼して最適なシステム構成を検証し、自分の提案が絶対に最良だと確信したうえで、商談に臨んでいるという。検証を指揮した責任と内容への自信が、土俵際の粘り強さにつながっている。

 「提案内容はSEと共同で作った、いわば作品。SEより先に営業が受注をあきらめることはできない」と山家は言う。

=文中敬称略

山家 秀樹(やまや ひでき)
アイアイジェイテクノロジー
関西支社 営業部営業第一課
課長
IT系メーカーの営業を経て2002年5月にアイアイジェイテクノロジーへ入社。半年間東京で研修した後、関西支社営業部へ配属になる。大手製造業、大手住宅メーカーなどを担当し、2007年10月より現職。趣味はドライブとスポーツクラブ通い。家族との買い物も楽しみだという。

出典:日経ソリューションビジネス2009年11月30日号 33ページ
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