前回紹介したハウジング・サービスの利用手順に続き,今回はホスティング・サービスを利用するための手順を説明します。既に紹介したように,ホスティング・サービス(レンタル・サーバー・サービスとも呼ばれます)とは,ホームページや電子メールのメール・ボックスなどを設けるためのサーバー機能と,ディスク・スペースを貸し出すサービスのことです。今では,仮想化技術を用いて発展させた,HaaS(hardware as a service)やPaaS(platform as a service) ,SaaS(software as a service)として提供されていることも珍しくありません。

 ホスティング・サービスの場合は,データセンターに機器が準備されているので,利用者が直接データセンターに出向くことはありません。このためハウジングに比べると,手順が簡略化されます。

手順その1【確認】

 まず,何の目的でどのようにホスティング・サービスを利用するのかについて,整理しましょう。例えば,次の4点を書き出すことを勧めます。

●ホスティング・サービスを利用して何をしたいのか?
●ハードディスク容量はどの程度必要か?
●メール・アドレスはいくつ必要か?
●接続環境に求める回線速度や品質はどの程度か?

手順その2【契約】

 利用目的や形態が明らかになったら,続いてサーバーのタイプ(共有サーバー,専用サーバー,仮想サーバー)を決めます。さらに,必要とするサポート内容を明確にします。そして,利用目的やそれら条件に照らし合わせて適切なホスティング・サービスを探します。

 利用するホスティング・サービスを決めたら,事業者と契約を結びます。その際,ホームページやメールボックスの設定,管理などに必要な情報を事業者から受け取ります。

手順その3【設定】

 多くのホスティング・サービスでは,ホームページやメール・ボックスの設定,管理を利用者が自らWebブラウザを使って実施できるようになっています。

 例えば,ホームページの場合にはHTMLファイルや画像ファイルをアップロードしたり,電子メールの場合にはメール・アカウントを設定・編集できたりします。

 ホスティング・サービスには,独自ドメインの取得作業を代行するサービスがオプションで用意されていることがあります。ドメインとは,ホームページのアドレスやメール・アドレスに含まれる,インターネット上にあるコンピュータを識別するための名称のことです。ホスティング・サービスの標準ドメインを利用すると,通常はホームページのアドレスが「http://プロバイダー名.ne.jp/~example-1/」など,長くて覚えにくいものになます。しかし,独自ドメインを取得すれば,例えば「http://example-1.jp/」など,短くて覚えやすいものにすることができます(図2)。

図2●独自ドメインならURLやメール・アドレスを短くできる
図2●独自ドメインならURLやメール・アドレスを短くできる

 ドメイン名は利用者が勝手に付けられるものではなく,重複したドメイン名が用いられることのないよう,国際的に認定されたレジストリと呼ばれる機関が管理しています。ドメイン名の取得は,早い者勝ちです。代行サービスを利用すれば容易に手続きができますので,「世界で一つ」の独自ドメインを持つことを検討してみてはいかがでしょうか。

 独自ドメインを取得したら,そのドメイン名を使ってサーバーにアクセスできるよう,DNSサーバーの設定を行います。DNSサーバーとは,インターネット上でのコンピュータの名前に当たるドメイン名と,住所に当たるIPアドレスを結び付けてくれる住所録のような機能を持つサーバーです。DNSサーバーを独自に持つこともできますが,簡便に済ましたい場合はドメイン取得を代行している企業が提供しているものを利用するとよいでしょう。


こぼれ話:データセンターのグリーンIT

 グリーンITとは,地球温暖化防止など環境に配慮したITの取り組みのことです。サーバーなどのIT機器は,稼働に際して電力を消費します。また,稼働により発する熱を逃がすため,データセンターでは空調によって温度を制御していますが,その空調も電力を消費します。

 電力消費量が減れば,CO2の排出量も減ります。そこで,多くのデータセンターは電力消費を抑制するさまざまな取り組みをしています。例えば,仮想化もその一つです。仮想化によって物理的なサーバー台数とスペースを減らすことで,サーバー自身の消費電力と,サーバーが発する熱を冷ます空調の消費電力を抑制できるのです。

 ベンダーによっては,現在のサーバー環境を診断し,最新の機器に置き換えるとCO2の発生量や機器の電気代,空調の電気代が今後数年間でどの程度削減されるのか,数値やグラフで示すサービスを提供しています。また,仮想環境への移行支援サービスを提供するベンダーもありますので,こうしたサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。


高知尾 眞樹
リコーテクノシステムズ ITマネージド本部 EMS運用センター RGシステム運用部 統合ヘルプデスクグループ リーダー
 RGシステム運用部は,リコー・グループの電話運用からサーバー運用までを幅広く担当する部門。リコー・グループの従業員約7万人のITインフラを日々維持,運用している。統合ヘルプデスクグループは,リコー・グループへの問い合わせを一元的に受け付ける窓口。データセンターを中心に全国25拠点に分散配置されたインフラ管理用の各種サーバーの運用も受け持っている。