写真中央は、富士通エフ・アイ・ピーの社内向けに配布されている新型インフルエンザ対応マニュアル。顧客にその内容を説明しながら、不測の事態にも対処できる会社だと伝えるために持ち歩いている。
 白鳥誠は富士通エフ・アイ・ピー(FIP)社内で、アウトソーシングの案件に強い営業担当者として知られる。これまでITアウトソーシングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の事業を担当し、製造から流通、金融などさまざまな業種の顧客を獲得してきた。今では、富士通FIPのなかでも取引規模がトップクラスの企業もある。

 ここまでの道のりは必ずしも順風満帆だったわけではない。5年前に九州支社へ赴任したときのことだ。東京本社での実績を買われ、営業リーダーとして白鳥は顧客開拓に臨んだが、なかなか成約に結び付かなかった。商談中に手応えを感じても、結局は失注してしまっていた。

 「なぜ獲得できないのか」。一つの商談が終わると、自分自身の行動を振り返った。顧客への電話応対や面談時の対応、話し方のほか、電子メールの内容など細かい部分を再確認していった。

 この結果、「東京で使っていた提案資料やセールストークに頼って、顧客の信頼を得るための工夫が十分ではなかった」との考えに至った。システムの運用を本当に安心して任せられる会社かどうか、提案資料の内容だけで顧客は判断しなかったのである。「当社の企業姿勢は、提案資料だけでは伝わらない。顧客に信頼してもらえる存在になるためには、営業担当者が日々の行動で示す必要がある」と、白鳥は悟った。

 その後の白鳥は、顧客から問い合わせがあるたびに、すぐに対応するようにした。技術的な部分について顧客が納得していないと感じたら、自社の運用担当者を同行させて再訪問し、疑問の解消に務めた。「富士通FIPでは社員が一丸になって顧客のシステムを守る」という企業姿勢を、自らの行動で積極的に示すようにしたのである。すると次第に受注が増え、その後は30社以上の新規顧客から受注できたという。

 「売ろうとする態度が少しでも透けて見えると、顧客の信頼を得ることができない。今でも自分自身の行動を振り返り、次の商談に生かすようにしている」と白鳥は話す。

=文中敬称略

白鳥 誠(しらとり まこと)
富士通エフ・アイ・ピー
第一アウトソーシング営業部 担当課長
1991年4月に富士通エフ・アイ・ピーへ入社し、データセンターを核にしたアウトソーシングサービスの営業部門に配属。2004年4月に九州支社へ異動し、主に新規顧客の開拓を担当。2008年4月から現職。趣味はゴルフと日曜大工、プロ野球観戦。生粋の阪神タイガースファンである。

出典:日経ソリューションビジネス2009年11月15日号 69ページ
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