世界最大の携帯電話事業者である中国移動(チャイナ・モバイル)が携帯端末向けアプリケーション販売サイト「Mobile Market」を2009年8月17日にオープンさせた。米アップルの「App Store」などとは異なり,多様なプラットフォームをサポートする。中国移動がアプリ販売の主導権を握るのが狙いだ。(日経コミュニケーション編集部)

横井 正紀/野村総研(上海)上級コンサルタント
周 睿/野村総研(上海)コンサルタント

 Mobile Market(以下,MM)で現在販売するのは,ソフトウエア,ゲーム,壁紙の3カテゴリに分かれたコンテンツ。今後,電子書籍,動画,音楽カテゴリのコンテンツを追加していく計画もある。コンテンツは,企業だけでなく個人でも販売できる。コンテンツの登録に手数料は不要だ。販売収入のうち30%を中国移動が取得し,70%をコンテンツ提供者に分配する(表1)。

表1●8月に中国移動が開始した「Mobile Market」と他の主な携帯電話向けアプリケーション・マーケットの概要
中国移動のMobile Marketは特定のOSやプログラミング言語に依存しないため,幅広い開発者を集められる。
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 MMのコンテンツは,フィンランドのノキア,ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ,韓国のサムスン電子,米モトローラなどが提供する端末から購入できる(写真1)。

写真1●Mobile Marketのホームページ
写真はノキア端末に対するコンテンツ販売の画面。ノキアの場合,MMのノキア・メニューを中国版「Ovi Store」と位置付けている。
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 また,OMS(Open Mobile System)と呼ぶ中国移動専用OSを搭載した端末である「OPhone」に対してもコンテンツを販売している。ユーザーは端末に搭載されたMM用アプリを使って直接ダウンロードできるほか,パソコンにコンテンツをダウンロードし,これを端末に取り込むこともできる。

 中国移動は,2010年までにMMのユーザー数を2000万,ダウンロード数を1億,携帯電話向けコンテンツ販売のビジネス規模を100億元(約1300億円)にする目標を立てている。

小資本の端末メーカーにもチャンス

 MMは一見,米アップルの「App Store」の二番煎じにも見えるが,実はこれまでの携帯電話向けアプリケーション・マーケットにはないユニークな特徴を持っている。それは,マーケットの提供者である中国移動が多様なアプリケーション実行環境を取り入れている点だ。現時点では,OPhone,ノキア端末向けOSであるS60,Windows Mobileのネイティブ・アプリ,ウィジェット,Javaアプリが配信可能だが,中国移動はこれらの実行環境に限定する姿勢は取っていない。メーカーやユーザーのニーズに応じて対応するプラットフォームを増やしていく見通しだ。

 日本にはパソコン向けのアプリケーション販売サイト「Vector」があるが,MMはこの携帯電話版だと考えれば分かりやすい。VectorではWindows XPやVista,Mac OS,UNIXなど様々なOSに応じたアプリケーションをダウンロードできるが,MMではこれが携帯のOSになっているのである。

 このように,多様なプラットフォームに対して気軽にコンテンツ配信できることは,アップルやノキア,米マイクロソフトのような大きな資本を持たない端末メーカーでもアプリケーション販売マーケットを持てることを意味している。

 もちろん,資本力のない端末メーカーが,アプリケーション販売機能を持ったからといって,一気に販売数を増やせるわけではない。しかし,アイデア次第では戦う方法はある。例えば,ゲームや音楽,書籍などある用途に特化した端末を作り,これに引き付けられたコンテンツ提供者によるコミュニティを拡大することで,さらに端末の魅力を増加させるという正のスパイラルを描く戦略だ。

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