日経SYSTEMSの中山秀夫記者
写真●日経SYSTEMSの中山 秀夫記者

 「サーバーを仮想化すると,管理する物理サーバーの数が減るので運用は楽になると言われる。だが,現実はそううまくはいかない」。日経SYSTEMSの中山秀夫記者(写真)は2009年10月28日,「ITpro EXPO 2009 名物記者のトレンド解説」で,「サーバー仮想化 運用の落とし穴」と題した講演の冒頭,語った。

 中山記者はサーバー仮想化に先行して取り組むユーザー企業を取材した。その結果,サーバー仮想化の現場が以下の4つの問題に直面することが分かったという。

(1)仮想化マシンの再配置をどうするか
(2)障害発生時の原因切り分けをどうするか
(3)バックアップ処理をどのように実行するか
(4)セキュリティ管理はどうすべきか

 いずれも重要な問題だが,対処にかけられる人手や時間,コストには限りがある。中山記者は講演で,先行ユーザーがどのように対処しているかを,現実解として紹介した。

割り切って複雑な問題を単純化

 第1の問題は,物理サーバーの負荷を平準化するための,仮想化マシンの再配置である。ユーザー企業がサーバー仮想化に踏み切る大きな目的はコスト効率の向上である。「コスト効果だけを考えれば,多くの仮想マシンを1台の物理サーバーに詰め込めばよい。だがそうすると,リソースの余裕が少なくなるので,ちょっとした負荷のピークにも耐えられないシステムになってしまう」(中山記者)。

 仮想サーバーの運用で,監視すべき主なリソースは,CPU,メモリー,ディスクI/O,ネットワークI/Oの四つである。サーバー再配置は本来,四つのリソースの使用状況を監視しながら,物理サーバーの負荷が平準化されるように仮想マシンを移動させるという,非常に複雑な最適化作業である。

 しかし現実に,ユーザー企業でここまでやるのは難しい。中山記者は,複雑な最適化問題をどのように単純化するかを示す事例を二つ紹介した。

 人材派遣などを手がけるウィルホールディングス(ウィルHD)は,物理サーバー4台という比較的小規模な仮想サーバー・システムを運用している。パフォーマンスに最も大きく影響すると思われるCPUの負荷だけに注目する,という割り切りにより,マシン再配置の問題を単純化した。

 同社は,CPU負荷の大きさによって,仮想マシンを高負荷,中負荷,低負荷の3種類に分け,高負荷,中負荷の仮想マシンが特定の物理マシンに偏らないよう,分散配置している(図1)。低負荷の仮想マシンは,微調整に利用しているという。同社では毎日のようにサーバーの再配置作業をしているが,ほとんどの場合,実際に動かすのは低負荷の仮想マシンだけで済んでいるという。ただし,同社によれば「このやり方が通用するのは,小規模システムだけ。数十台以上になると難しい」とのことだ。

図1●再配置の考え方の例
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 富士フイルムは,再配置作業の頻度を日次から月次に減らすという形で対処している。加えて,どの時間帯に処理のピークが発生しているかという点に着目して,仮想マシンを複数のグループに分類した。そのうえで,ピーク時間帯が重ならないように,仮想マシンを分散配置している。ただしこの方法は,ある程度リソースに余裕がある場合に有効だという。

 仮想マシン再配置問題について中山記者は,自動化ツールの採用も検討の価値があるとした。導入企業はまだ多くはないが,中山記者は「自動化ツールについては,まだ試してもいないという企業が多く,食わず嫌いの感がある。バンダイナムコゲームスのように自動化した先例もあるので,一度ぐらい試す価値はあるのではないか」と述べた。

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