本研究所では、クラウドコンピューティングについて、モバイルソリューションの観点から企業の情報システムを考えます。前回はモバイルソリューションの価値や本質について言及しました。今回は、クラウドと対向する様々なモバイルデバイスに一歩踏み込み、必要な機能やユーザー端末としてIT部門が考えるべきポイントについて、事例を交えて考えてみます。

 これまで企業のシステム部門においてモバイルソリューションがあまり検討されてこなかったのは、前回述べたように、ネットワーク速度に依存することが一因でしたが、モバイルデバイスにも大きな原因がありました。

 すなわち、例えば携帯電話といった小型デバイスだと、画面が小さすぎて様々な基幹アプリケーションを利用するにも使い勝手が悪かったことです。デスクトップPCの代替としも普及し始めているノートPCであれば、既存のデスクトップ向け基幹アプリケーションをそのまま使用できるだけに、改めてモバイルデバイスに対応する必然性がなかったわけです。

画面サイズでユーザビリティが一変する

 企業がモバイルデバイスを採用する際には、3インチ超8インチ以内という画面サイズの壁を越えたところに、クラウドとの親和性が高いソリューションの可能性が潜んでいると、筆者は考えます(図1)。

図1●エンタープライズ用デバイスが突き当たる”3インチ超8インチ以内の壁”
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 まず画面サイズが“3インチの壁”を超えると状況は一変します。スクロールしなくても表示できる領域・情報量が格段に拡がり、ユーザビリティが大きく変わるからです。これまでも基幹システムにアクセスするソリューションがありましたが、小さな画面サイズが壁となり、一向に普及しませんでした。しかし今は、スマートフォンが登場しています。

 また、3インチ以上の画面では、単純なテキストベースのインタフェースに代えて、アイコンなどを多用したグラフィカルなユーザインタフェースの実装が容易になります。Blackberry、iPhoneなどが、その典型例と言えるでしょう。

 一方、比較的大きなモバイルデバイスに注目してみましょう。ノートPCといえども画面サイズが大きく、重量も大きければデスクトップPCとなんら変わりません。ですが、画面サイズが8インチを切ると、両手打ちができるキーボードが装備できなくなります。そうなると、タッチパッド入力など、QWERTY配列のキーボード入力以外のユーザインタフェースが必要になってきます。

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