移動中に提案に関するアイデアを書くノートや議事録作成にも使う携帯電話を持ち歩く
 TDCソフトウェアエンジニアリングのアカウント営業で、受注金額の伸び率で3年連続トップの成績を記録しているのが佐野弘幸だ。佐野は、顧客への訪問回数でも社内の他の営業を圧倒する。顧客企業の近くを通った際は当然のように顔を出す。顧客を訪ねる時間を作るため、移動の電車内で提案内容をまとめ、携帯電話の電子メールで議事録を書いているほどだ。

 訪問時には、システム担当者だけでなく、事業部門の担当者を紹介してもらう。常に1日2~3社、合計で6~10人のユーザー企業の担当者と顔を合わせる。「先方がエレベーターに乗っている時間だけ、会ってもらえたこともある。どんなに短い時間でも時間を取ってもらえるなら会いに行く」と佐野は言う。顧客への訪問に対する熱意が、受注数の拡大につながっている。

 受注後も顧客訪問を絶やさない。本当に顧客の意図をくみ取っているか、SEに顧客の要求が正しく伝わっているかを佐野は何度も確認する。その結果、佐野が手掛ける案件では、トラブルがまず起こらないという。顧客と開発部門の間に意識のずれが生じづらい。あっても早期に修正できるのでトラブルにならないのだ。

 足繁く顧客を訪問して、顧客の要求を確認するのは、自社のSEの技術力を認めてもらいたいからでもある。「顧客に喜んでもらえるのがうれしいのはもちろんだが、SEの技術力を顧客に褒めてもらうことが、一番うれしい」と佐野は言う。意欲的に顧客を回る、佐野のモチベーションの源泉はここにある。

 佐野は営業志望で入社したが、最初の1年間はメインフレーム向けミドルウエアの開発現場に配属された。このときに、企業情報システムの開発の基礎として、仕様確定の大切さを学んだ。同時に、自社SEの技術力が高いことも知った。当時の体験が、現在の佐野の営業スタイルに生きている。

=文中敬称略

佐野 弘幸(さの ひろゆき)
TDCソフトウェアエンジニアリング
営業本部
社会システム営業統括部
1980年生まれ。長野県出身。2003年4月、TDCソフトウェアエンジニアリングに入社し、メインフレーム向けミドルウエア開発を手掛ける部署に配属。2004年に営業本部へ異動し、SIサービスのアカウント営業を担当する。妻から1年間に1日だけ許されているバイクのツーリングを楽しみにしている。

出典:日経ソリューションビジネス2009年10月15日号 69ページ
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