ERP(統合基幹業務システム)ベンダーのガイアは、会計機能をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供する「F-GAIA」を9月末に発売する。セールスフォース・ドットコムのプラットフォーム上で稼働する。

 「国内外の連結子会社が異なる会計システムを使っていると、連結データの集計に手間がかかる。子会社の会計システムをF-GAIAで統一すれば、簡単に集計できるようになる」。こう話すのは、ガイアの中道徹社長だ。

 ガイアは既にERPソフトの「J-GAIA」を開発・販売している。F-GAIAは、J-GAIAの会計モジュールをSaaS型に再開発したものだ。「自前でシステムを用意しなくてもいいので、海外の子会社も導入しやすくなる。グローバルな実績を評価して、プラットフォームにセールスフォース・ドットコムのForce.comを選んだ」(中道社長)。

 F-GAIAの機能は、J-GAIAの会計モジュールとほぼ同じである。振替伝票入力による仕分計上から決算処理、財務諸表の照会、出力など個別会計業務の処理が可能だ。海外子会社でも使えるよう、日本語版のほか英語版、中国語版の3タイプを用意した。

 ガイアは2002年に設立されたベンチャー企業だ。中道社長のほか、システム開発などに20年以上の経験を持つメンバーが、「日本のERPを変えたい」という思いで発足した。1000社以上の企業を調査し、課題や要望を聞いてJ-GAIAを開発している。

 「連結決算を迅速化しようとすると、子会社の会計システムが課題になるケースが多い。これを解決するため、F-GAIAの開発に踏み切った。国際会計基準の適用が義務化されると、ニーズはますます高まる」と山田耕治マーケティング部長は期待する。

J-GAIAと組み合わて使う例も

 ガイアはJ-GAIAのモジュール「連結決算支援システム」と組み合わせると、よりF-GAIAの使い勝手が高まるようにしている。同モジュールの機能を使えば、子会社の勘定科目を変更せずにそのまま統合できるという()。

図●「F-GAIA」の導入例
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 J-GAIAには「経営管理情報システム」というビジネスインテリジェンス向けのモジュールもある。これを使えば、容易に経営データを分析できる。

 F-GAIAの開発に着手したのは2008年10月で、約半年で終了した。Force.com上で開発したため、ユーザーインタフェースは「Salesforce CRM」に近い(画面)。

画面●「F-GAIA」のユーザーインタフェースは「Salesforce CRM」に近い
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 ユーザーインタフェースは変更できるが、Salesforce CRMに近いほうが使いやすいと判断した。「Salesforce CRMのままだと帳票の罫線がずれる場合もあった。見栄えを良くするために画面を少し修整した」(王祥民 開発部長)。

 画面上で次々に詳細データをたどるドリルダウン機能や、会計入力のガイダンスの画面などは独自に作り込んだ。

 Salesforce CRMとの連携も想定している。例えば、「営業が入力した販売管理システムなどのデータをF-GAIAに取り込む」「営業が入力した顧客マスターと基幹マスターのデータを統合する」といった使い方ができるようなる。Salesforce CRM以外にも、さまざまな業務ソフトとデータ連携できるよう、ITベンダーとの協業も図っている。

 F-GAIAの料金は、1社当たり2ユーザーの利用で月額9万8000円から。3ユーザー以降は1ユーザー当たり1万円を追加する。今後3年間で100社以上に販売する計画で、数億円の売り上げを見込む。2009年内には販売パートナーを4~5社に増やす予定だ。

SaaSをSI案件に結び付ける

 既に販売パートナーとなっているのが、情報技術開発(TDI)と子会社のTDIコンサルティング・ソリューションズである。4月からJ-GAIAを販売してきたが、9月末からF-GAIAも手掛ける。

 「J-GAIAの営業で企業を訪問すると、連結決算の処理に悩むユーザーが多かった。これからはJ-GAIAの連結決算支援システムと、F-GAIAを組み合わせたソリューションを提供したい」と、TDIコンサルティング・ソリューションズの宮武晴明社長は話す。

 TDIグループは今まで受託開発や運用保守が中心だったが、豊富な機能を備えるガイアの製品に注目。新規事業として取り組んでいる。「SaaSのF-GAIAだけを販売しても利益を出しにくい。連結決算システムの構築など、ガイアのソリューションをきっかけに顧客に入り込み、業務システムのSI案件にもつなげたい」と宮武社長は話す。

出典:日経ソリューションビジネス 2009年9月15日号 pp.40-41
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