部品が1点ずつ取り外され、バラバラに分解された使用済み複写機が再び元の姿に組み上げられていく。富士ゼロックスの生産子会社である鈴鹿富士ゼロックスの工場では、まるで生産工程のビデオを逆送りで見ているかと錯覚してしまいそうだ。

 使用済み部品を再使用した複写機を1995年に初めて発売した富士ゼロックス。リユース部品を使った複写機は現在、品ぞろえを18機種に拡充し、月間約1200~1300台を生産する。今や同社の環境対策の象徴的な存在であるばかりか、2008年度は年間9億円の利益を稼ぎ出す優良事業の一つに成長した。

 使用済み複写機から取り出した部品を再使用できるものとそうでないものに仕分け、リユース部品と新品の部品を混ぜて複写機を組み立てる。すべて新品の部品で作る複写機と全く同じ検査を実施し、品質を保証する。リユース部品内蔵モデルを区別して売る他社と異なり、富士ゼロックスは両者を同じ「新品」として扱い、販売価格も同じにしている。

図1●複写機の部品を再使用する流れ
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部品の調達コスト減らし29億円の赤字を一掃

 部品のリユースによる環境負荷の低減効果は、2008年度でCO2の排出抑制が約2万2400t、資源の投入抑制が約3700tに達する。一方、部品を再使用することで新品部品の調達コストを減らせる。富士ゼロックスは、調達コストの削減額から使用済み製品の回収と部品の分解や洗浄などリユースにかかるコストを差し引いてリユース事業の損益を算出している。リユースを始めてから長い間、赤字が続き、99年度にはその額が約29億円に膨らんだ。

 その後、再使用する部品の点数を増やして調達コストを削減し、赤字幅を縮小。2003年度に初めて6000万円の利益を出した。悲願だった“黒字”を達成し、環境と経済を両立させた優良事業の地位を確立した。

 リユース部品の増加に貢献したノウハウは大きく2つある。使用済み複写機から回収した部品があとどれぐらい使えるかを示す「余寿命」を精ちに予測することと、製品の設計段階からリユースに配慮するようにしたことだ。

 余寿命の予測では、2004年から、プリント基板の通電時間や、画像読み取り部分に付いているフタの開閉回数など使用状態を記録する機能を活用して、部品ごとにきめ細かく再使用できるかどうかを判定している。従来は複写機1台当たりの使用時間しか把握できなかった。設置年数を基に大まかに判断していた時期もあり、再使用できる部品も廃棄してリサイクルに回していた。

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