ソリューションプロバイダが顧客満足度を高めるためには営業が重要であり、真っ先に手を付けるべきだという点は前回、解説した通りである。顧客満足度を上げるためには、「顧客起点」の発想で営業活動を貫くことが重要である。顧客を起点にした3C分析で期待を明らかにし、営業活動全体を通じて期待に応える。



 顧客起点の発想で営業に取り組むことが、顧客満足を向上させるために重要と言われても、当たり前だと思われる読者が多いかもしれない。だが、顧客満足度向上を掲げる企業であっても、顧客起点の発想を実行できているところは少ない。

 自社、あるいは自分の日常の営業活動を思い出してほしい。「この製品が利益率が高いので、あの顧客にも売り込もう」「競合会社がトラブルを起こしたので、今が提案のチャンスだ」「セールスコンテスト対象商品なので、一度話してみよう」。このような姿勢になってはいないだろうか。

Win-Winの関係が作れる

 収益を上げることが企業の目的の一つである以上、上記のような姿勢が必ずしも間違っているとはいえない。しかしながら、顧客起点の発想を営業活動で徹底すれば、ソリューションプロバイダにとって、いくつも有益な点がある。

 まず顧客との間にWin-Winの関係を作ることができる。顧客の立場に立脚し、顧客の悩みについて売り手が考えることで、同じ悩みを共有した協力者として、買い手に認めてもらえるのだ。こうした関係が構築できれば、他社に対する強力な参入障壁になる。

 自社のビジネスを優先しすぎると、営業=売る人、顧客=買う人という対立構造が生まれかねない。このような状況で、顧客との間に信頼関係を築くのは難しい。

 顧客起点の営業活動を継続することは、それ自体がライバルに対する本質的な差異化につながる。顧客にとって本当に必要な機能に特化し、顧客に必要な使い方をサポートできる企業は少ない。

 現代は、画期的な商品を生み出したとしても、類似品が登場してすぐに差がなくなってしまう時代である。特にソリューションビジネスの世界ではこの傾向が顕著だ。いろいろな売り手が、似たようなソリューションツールを売り込んでくる。顧客起点で考えて営業活動を実施することは、厳しい競争を勝ち抜くためにも有効である。

計画的にアプローチする

 企業を顧客にするBtoB事業では、「どこから何を買うか」という決断に際して、複数の人間が関係するのが一般的である。購入後の利用段階、情報システムでいえば稼働後の運用段階まで含めると、関係する人間の数はさらに多くなる。

 BtoB事業で顧客の満足度を高めるためには、誰のどのような期待を充足させるかを決めておく必要がある。以下では、顧客満足の向上に必要な、営業活動の計画立案の内容について紹介する。

 まず最初に、顧客あるいはビジネスの対象になっている部門が、ソリューションプロバイダに何を期待しているかを明らかにする。ことのき、顧客を起点に3Cを分析すると有効である。

 通常の3C分析で対象にするのは、自社(Company)と、競合(Competitor)、顧客(Customer)の三つのCである。だが私の考える顧客起点の3Cの分析対象は異なる。

 顧客と顧客の顧客(Customer’s Customer)、顧客の競合(Customer’s Competitor)を対象にして、顧客の課題を推測していくのだ(図1)。顧客の期待は往々にして、課題を解決する手段なので、課題が明らかになれば期待についての仮説を立てやすくなる。

図1●自社起点の3Cではなく顧客起点の3Cで考える
図1●自社起点の3Cではなく顧客起点の3Cで考える

 次に顧客の意志決定プロセスに沿って顧客の期待を整理する。満足度を向上させるためには、「何を欲しているか」に加え「顧客は誰か」を知る必要がある。誰かを明らかにするわけだ。

 顧客の意志決定プロセスと、そこにかかわる全員の期待について検討する。システムを導入買する際のプロセスは、図2のようになる。

図2●顧客の意志決定プロセスの分析例
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 情報システムに対する顧客の期待を明らかにする場合には、「インフラ成否に何が必要かを決める投資案の作成」にかかわる、情報システム部門が何を望んでいるかを知らなくてはならない。

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