「YouTubeはテレビCMと組み合わせることで広告効果を高められる」──グーグルでYouTube事業のマーケティングを担当する小池渉マネージャーは,2009年の春に欧州と日本で実施した調査結果を示しながら,広告媒体としてのYouTubeの特徴を説明した。

日欧でYouTubeの広告効果を測定

 グーグルはYouTubeの広告効果を測定するための調査を欧州と日本で実施した。欧州の調査では,ある飲料メーカーが実施したキャンペーンを対象に,モニターとなる8000世帯に対して広告に接触した媒体の違いによって商品の売り上げにどういう影響があるかを調査した。キャンペーンの広告に接触した媒体別の対象商品の売り上げは,テレビCMだけで接触した世帯が9%増,YouTubeだけで接触した世帯が10%増と,その伸びに大きな差は見られなかった。一方,テレビCMとYouTubeの両方でキャンペーン広告に接触した世帯では,商品の売り上げが97%も増加したという。「テレビCMとYouTubeを組み合わせて広告展開することで,それぞれ単体で広告展開する場合よりも高い効果が得られることが分かった」という。

 グーグルが日本国内で行った調査でも,同様の傾向が見られた。国内の調査対象は,ロッテが2009年春に発売したガムの広告キャンペーンである。このキャンペーンではテレビCMに加えて,YouTubeにダンス映像を投稿するコンテスト企画を展開した。調査対象となる消費者をキャンペーン情報に接触した媒体別に(1)テレビCMのみ,(2)YouTubeのみ,(3)テレビCMとYouTubeの両方──の3グループに分けた。それぞれのグループについて(a)広告の認知,(b)その商品の好感,(c)購入意欲,(d)実際の購入──といった商品購入にいたる4段階の各プロセスに,どれだけの消費者が到達したかを調査した。

YouTubeとの組み合わせで商品購入に31%の差

 結果は,(a)広告を認知した消費者を100%とすると,そのうち(b)商品に好感を抱いた消費者の割合は(1)テレビだけの場合が68%,(2)YouTubeだけの場合が76%,(3)テレビとYouTube両方の場合が86%となった。購入意欲や商品購入の各プロセスでも同様の傾向が見られた。購入意欲まで達した割合は(1)テレビだけが60%,(2)YouTubeだけが68%,(3)テレビとYouTube両方が80%だった。商品購入まで至った割合で見ると(1)テレビだけが44%,(2)YouTubeだけが61%,(3)テレビとYouTube両方が75%となった。テレビとYouTube両方で接触した消費者はテレビだけで接触した消費者よりも31%も多く商品購入に至っているという結果が出た。

 これらの結果から小池氏は「媒体特性の違うテレビCMとYouTubeを比較して,どちらに広告を出したほうが安いといった議論は無意味。どう組み合わせるかが重要だ」とし,冒頭のコメントを続けた。

 テレビとYouTube両方に接触したグループの広告効果が高いとしても,このグループのボリュームそのものが小さい場合は,必ずしも広告の費用対効果がテレビCMのみで接触したグループより高いとは言えないケースもあり得る。こうした懸念に対して小池氏は調査対象者のプロフィールを示した。それによれば,調査対象者全体を100%とした場合,テレビだけで接触した利用者が全体の51%,YouTubeだけで接触した利用者が同3%,テレビとYouTube両方で接触した利用者が同24%だった。テレビとインターネット両方で接触したグループがテレビだけの接触グループに対して,半分程度のボリュームがあることになる。ただし「今回ロッテがテレビCMにどれくらいの予算をかけたのかを知る立場にないので,これら三つのグループ別に費用対効果を比較することまでは行っていない」という。

商品購入に繋げるクロスメディア展開

 テレビCMとYouTube両方に接触するグループのボリュームがある程度あり,このグループの商品購入に繋がる率を高められるという今回の調査結果から,小池氏は「テレビCMで1000万人のリーチ(認知)がある商品を販促する場合,さらにテレビCMを使って200万人のリーチを追加するというこれまでの考え方のほかに,テレビCMによるリーチは1000万人のまま,YouTubeを使ったキャンペーンを組み合わせることで,より多くの商品販売に繋げるという考え方もできるのではないか」と提案した。

出典:日経ニューメディア 2009年8月24日号 12ページより
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