考具―考えるための道具,持っていますか?
著者:加藤昌治
出版社:阪急コミュニケーションズ
価格:1575円(税込)
ISBN:978-4484032054

 ここ最近,大学生と話す機会が多い。私が大学に通っていたころは,バブル全盛期だったこともあって,大学は基本的に遊ぶところ。単位さえ落とさずに4年間過ごせば,そのままどこかの企業に就職できるという時代だった。それが,今は大違い。わずか数年前には就職氷河期だったかと思えば,またにわかに活況を迎えるなどしているが,今の大学生はそのような時流に左右されることなく,早いうちからいろいろな方法で社会経験を積むようになっているようだ。

 驚いたのが,大学生の多くがインターンシップなどに参加していたり,サークルの代わりにベンチャー企業を設立したりしていることだ。1円起業が可能になったことも大きいのだろうが,実際にビジネスプランがあったら,すぐにそれを実践してみている学生も多い。

 ただ,そんな彼らの中でも自分たちのアイデアが陳腐に思えていたり,革新的ではないと思えることに頭を悩ましているような連中も多い。私にも,どのようにしてアイデアを生み出すのか,発想力はどのようにして身につけるのかを聞いてくる。そのようなときに薦めるのがこの本だ。

 本書では情報収集や整理からアイデアのひねり出し方まで,いくつものフレームワークを提示している。良く知られている手法も多いので,企画立案を専門としている人には物足りないかもしれない。だが,今は企画専門の人間ではなくとも,いろいろなアイデアを求められることも多い。会社によっては,一般社員からのアイデア募集を行っているようなところもあるだろう。専門ではなくても自分から企画提案をしようと考えている人は,是非本書を読んでみてほしい。もちろん,上で述べたような,学生や新社会人で,このような手法にあまり馴染みの無い人にもお勧めだ。

 アイデアを生み出すためには,持って生まれた才能だけでは足りない。技術があり,それを用い努力することが必要だ。そのような技術を学ぶためのとっかかりになるだろう。

 非常に読みやすい文体で書かれていることもあり,おそらく短時間で読了できるだろう。その場合には,これをもとにさらにいろいろな本を読むなどしてみてほしい。

Watcherが薦めるこの一冊